社内の勉強会で、政府が2019年に決定した「人間中心のAI社会原則」を取り上げることに なった。この原則の位置付けの説明として、最も適切なものはどれか。
正解:ア
アAIを活用する社会が目指すべき姿を、人間の尊厳を守る立場から理念として示したもの
正解。AIそのものの作り方を定めた文書ではなく、AIを受け入れる社会の側が どうあるべきかを示した理念です。人間中心の原則や、公平性、説明責任及び 透明性の原則といった考え方を掲げ、法的な拘束力は持ちません。
イ事業者がAIを開発・提供・利用する際の取組を、立場ごとに整理した実務の指針
誤り。これはAI事業者ガイドラインの説明です。原則が示した理念を、事業者が 日々の業務で何をすればよいかまで具体化したものにあたります。理念を掲げる 文書なのか、実務の手順に落とした文書なのかが違いです。
ウAIを組み込んだ製品の安全性や品質を試験し、水準を満たすことを認証する規格
誤り。これは標準化団体などが定める規格や認証制度の説明です。規格は製品や 仕組みが一定の水準を満たすかを技術的に確かめるものであり、社会全体の 在り方を論じる原則とは対象も目的も異なります。
エAIを業務で使う企業が、自社の社員向けに利用の可否や手順を定めた社内規程
誤り。これは各企業が独自に作る社内規程の説明です。原則は国が社会全体に向けて 示した共通の考え方で、社内規程はそれを踏まえて個々の企業が自社の事情に 合わせて定めるものです。誰に向けた文書かが違います。
AIを使う「社会の側」の心得
交通ルールにたとえると、この原則は「車の作り方の基準」ではなく、 「車が走る社会をどんな場所にしたいか」を語った文書です。 AIの性能を上げる話ではなく、AIが広まった社会で人が幸せでいられるための 前提を並べています。
2019年に政府が決定し、AIが持つ力の大きさを認めたうえで、 それでも判断や責任の中心には人がいるべきだという立場を取っています。 掲げられた考え方には、人間中心の原則、公平性、説明責任及び透明性の原則、 イノベーションの原則などがあります。
AI-readyな社会
この原則には、AI-readyな社会という言葉が出てきます。 AIの恩恵をすぐに受けられるよう、人材、データ、制度、企業の仕組みが あらかじめ整っている社会のことです。AIを導入すること自体が目的ではなく、 社会の側の準備が整って初めてAIが役に立つ、という順序を示しています。
層の違いで見分ける
| 文書 | 位置付け |
|---|---|
| 人間中心のAI社会原則 | 国が示した理念。社会全体が目指す姿を語る |
| AI事業者ガイドライン | 総務省・経済産業省が策定する実務の指針。事業者の立場ごとの取組 |
| 規格・認証制度 | 製品や仕組みが一定の水準を満たすかを技術的に確かめる |
| 社内規程 | 各企業が自社の社員に向けて定める利用ルール |
試験では、選択肢が「理念」「実務指針」「社内ルール」のどの層を語っているかで 見分けられます。原則は最も上の層、つまり最も抽象的な位置にあります。