複数の店舗システムから集めた顧客データを分析基盤に取り込んだところ、同じ顧客が 表記の異なる複数の行に分かれ、住所が空欄の行も混じっていた。このまま集計すると 顧客数を正しく把握できない。分析を始める前の対応として、最も適切なものはどれか。
正解:ウ
アデータの件数が多ければ誤りは互いに打ち消し合うとみなし、そのまま集計する。
誤り。「量が質を補う」という典型的な誤解です。同じ顧客が二重に数えられている 状態では、件数を増やすほど顧客数は実態から離れていきます。誤ったデータからは 誤った結果しか出ないため、集計より先に中身を直す必要があります。
イ参照できる利用者を担当者だけに限定し、権限のない者がデータを見られないようにする。
誤り。これはデータセキュリティ、特にアクセス権限の管理です。不正な閲覧は防げますが、 重複した行も空欄もそのまま残ります。守っているのは「誰が見てよいか」であって、 「中身が正しいか」ではありません。
ウ表記の統一規則と必須項目の基準を定め、重複した行の名寄せと欠損の補完を行う。
正解。データ品質管理は、データが使える状態かを基準に照らして測り、満たさないものを 是正する機能です。表記ゆれの統一と名寄せ、欠けた項目の補完はその代表的な作業で、 分析の前段として欠かせません。
エ取り込んだデータを一つの基盤に集約し、どの部門からも同じ場所を参照できるようにする。
誤り。これはデータの置き場所と流れを整える取組みで、参照する手間は確かに減ります。 しかし集めただけでは表記ゆれも空欄も直りません。データが「どこにあるか」の問題と 「正しいか」の問題は別物です。
材料が傷んでいれば、料理も傷む
どれほど腕のよい料理人でも、傷んだ食材からおいしい料理は作れません。データ分析も同じで、 入ってくるデータが汚れていれば、出てくる結果も汚れます。これを英語では Garbage In, Garbage Out(ごみを入れればごみが出る)と言います。 分析の腕前より先に、材料の下ごしらえを整えるのがデータ品質管理です。
何をもって「品質が高い」と言うのか
データ品質管理では、次のような観点で基準を決めて測ります。
- 正確性 — 値が事実と合っているか(実在する住所が入っているか)
- 完全性 — 必要な項目が欠けていないか(住所が空欄でないか)
- 一貫性 — 同じものが同じ書き方で表されているか(表記が混ざっていないか)
- 最新性 — 古いまま放置されていないか(引っ越し後の住所に更新されているか)
設問の状態は、一貫性(表記ゆれによる重複)と完全性(住所の欠損)が同時に崩れた例です。 表記の統一規則を決め、同じ顧客を突き合わせて一つにまとめる作業を名寄せと呼びます。
似た取組みとの違い
| 取組み | 何をするか |
|---|---|
| データ品質管理 | 基準に照らして中身を測り、誤り・重複・欠損を是正する |
| データセキュリティ | 参照や更新の権限を制御し、不正な利用から守る |
| データ基盤への集約 | データの置き場所を一つにまとめ、参照しやすくする |
試験では「分析結果が実態と合わない」という場面で問われます。 原因がデータの中身にあるなら、答えはデータ品質管理だと判断できます。