問題 9★★★

複数の店舗システムから集めた顧客データを分析基盤に取り込んだところ、同じ顧客が 表記の異なる複数の行に分かれ、住所が空欄の行も混じっていた。このまま集計すると 顧客数を正しく把握できない。分析を始める前の対応として、最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. アデータの件数が多ければ誤りは互いに打ち消し合うとみなし、そのまま集計する。

    誤り。「量が質を補う」という典型的な誤解です。同じ顧客が二重に数えられている 状態では、件数を増やすほど顧客数は実態から離れていきます。誤ったデータからは 誤った結果しか出ないため、集計より先に中身を直す必要があります。

  2. イ参照できる利用者を担当者だけに限定し、権限のない者がデータを見られないようにする。

    誤り。これはデータセキュリティ、特にアクセス権限の管理です。不正な閲覧は防げますが、 重複した行も空欄もそのまま残ります。守っているのは「誰が見てよいか」であって、 「中身が正しいか」ではありません。

  3. ウ表記の統一規則と必須項目の基準を定め、重複した行の名寄せと欠損の補完を行う。

    正解。データ品質管理は、データが使える状態かを基準に照らして測り、満たさないものを 是正する機能です。表記ゆれの統一と名寄せ、欠けた項目の補完はその代表的な作業で、 分析の前段として欠かせません。

  4. エ取り込んだデータを一つの基盤に集約し、どの部門からも同じ場所を参照できるようにする。

    誤り。これはデータの置き場所と流れを整える取組みで、参照する手間は確かに減ります。 しかし集めただけでは表記ゆれも空欄も直りません。データが「どこにあるか」の問題と 「正しいか」の問題は別物です。

理解を深めるために

材料が傷んでいれば、料理も傷む

どれほど腕のよい料理人でも、傷んだ食材からおいしい料理は作れません。データ分析も同じで、 入ってくるデータが汚れていれば、出てくる結果も汚れます。これを英語では Garbage In, Garbage Out(ごみを入れればごみが出る)と言います。 分析の腕前より先に、材料の下ごしらえを整えるのがデータ品質管理です。

何をもって「品質が高い」と言うのか

データ品質管理では、次のような観点で基準を決めて測ります。

  • 正確性 — 値が事実と合っているか(実在する住所が入っているか)
  • 完全性 — 必要な項目が欠けていないか(住所が空欄でないか)
  • 一貫性 — 同じものが同じ書き方で表されているか(表記が混ざっていないか)
  • 最新性 — 古いまま放置されていないか(引っ越し後の住所に更新されているか)

設問の状態は、一貫性(表記ゆれによる重複)と完全性(住所の欠損)が同時に崩れた例です。 表記の統一規則を決め、同じ顧客を突き合わせて一つにまとめる作業を名寄せと呼びます。

似た取組みとの違い

取組み 何をするか
データ品質管理 基準に照らして中身を測り、誤り・重複・欠損を是正する
データセキュリティ 参照や更新の権限を制御し、不正な利用から守る
データ基盤への集約 データの置き場所を一つにまとめ、参照しやすくする

試験では「分析結果が実態と合わない」という場面で問われます。 原因がデータの中身にあるなら、答えはデータ品質管理だと判断できます。

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