情報倫理・AI倫理AI倫理・AIガバナンス★☆☆

社員が、社外の事業者が提供する生成AIサービスに、顧客の氏名と購入履歴が並んだ 一覧をそのまま貼り付けて要約させた。この行為が高めてしまうAI利用上のリスクと して、最も適切なものはどれか。

正解:

  1. 出力情報の再現性・一貫性の欠如

    誤り。同じ質問をしても回答の内容が毎回変わってしまうリスクです。要約でも 起こりうる現象ですが、それは出力側のばらつきの話で、顧客情報を入力したこと によって新たに生じるものではありません。

  2. 根拠・出典不明の出力情報

    誤り。出力の内容がどの資料に基づくのかを確かめられないリスクです。今回は 自社の顧客一覧という出どころの明らかな資料を渡しているので、根拠が不明に なる場面ではありません。問題は渡したこと自体にあります。

  3. セキュリティ・プライバシーへの懸念

    正解。入力した内容が事業者側のサーバに保存され、モデルの学習や品質改善に 使われることがあります。本人の同意なく個人データを社外に渡したことになり、 漏えいや目的外利用につながります。

  4. 学習データに由来する差別的表現

    誤り。学習データに含まれる社会的な偏りが出力に表れ、特定の属性の人を不当に 扱う表現が生じるリスクです。同じくデータに関わる問題ですが、こちらは出力の 公平性であり、入力した情報がどこへ行くかとは論点が違います。

入力欄の向こう側は社外

生成AIサービスの多くは、インターネット越しに事業者のサーバで動いています。 入力した文章はいったんそのサーバに届き、サービスによっては保存され、モデルの 学習や品質改善に使われます。つまり、入力欄に貼り付けた時点で、その情報は社外に 出たことになります。これがセキュリティ・プライバシーへの懸念です。

何が問題になるか

  • 顧客から預かった個人データを、本人の同意なく第三者に渡したことになる
  • 未公開の設計情報や見積条件を入力すれば、営業秘密の管理が崩れる
  • 学習に使われた場合、他の利用者への出力に断片が現れる可能性が残る

対策は、入力してよい情報の範囲を社内規程で決めること、入力内容を学習に使わせない 設定(オプトアウト)や法人向けの契約を用いること、そして個人情報や機密情報は 仮名化・削除してから渡すことです。

混同しやすいものとの違い

リスク どこで起きるか
セキュリティ・プライバシーへの懸念 入力側。渡した情報が社外に残る
根拠・出典不明の出力情報 出力側。裏づけを確かめられない
再現性・一貫性の欠如 出力側。答えが毎回変わる
差別的表現 出力側。学習データの偏りが表れる

AIのリスクは「入力したものが漏れる話」と「出てきたものが信用できない話」に 分けて覚えると、場面から選びやすくなります。

情報倫理・AI倫理の一覧へ戻る