基幹システムを刷新するプロジェクトで、決まった内容が一部の関係者に伝わっておらず、 後から手戻りが生じている。コミュニケーションのマネジメントとして行うこととして、 最も適切なものはどれか。
正解:イ
ア関係者が一堂に会する会議の回数を増やし、その場の口頭説明ですべてを伝える。
誤り。会議を増やしても、その場にいない人には届かず、出席者の時間だけが 奪われます。口頭は記録が残らないため、聞き漏らしや言った言わないも起きます。 回数を増やす前に、どの情報を誰にどの手段で届けるかを決めるのが先です。
イ誰にどの情報を、どの頻度で、どの手段で伝えるかをあらかじめ定めて共有する。
正解。必要な人に必要な情報が届く状態を、あらかじめ計画して作る活動です。 相手によって必要な情報も適した頻度も違うので、対象・内容・頻度・手段を 決めておき、その取り決め自体を関係者と共有しておきます。
ウ決まった内容は共有フォルダに保存し、見るかどうかの判断は各自に任せる。
誤り。置いておくだけでは、何が増えたかを知らない人には届きません。参照用の 資料はこの形でよいのですが、伝わらないと手戻りが起きる決定事項は、 こちらから届けに行く手段をあらかじめ決めておく必要があります。
エチャットや会議のためのツールを導入し、関係者に操作方法の研修を行う。
誤り。伝える道具をそろえることと、伝わる状態を作ることは別です。誰がどの情報を どこに出すかが決まっていなければ、情報の置き場所が分散するだけで終わります。 手段の選定は計画に含まれますが、そこから始める話ではありません。
「たくさん話す」ではなく「届く道筋を先に決める」
町内の回覧板は、回す順番と締切が決まっているから全戸に届きます。順番が決まって いなければ、いくら熱心に声を掛けても、留守だった家には情報が届きません。 プロジェクトのコミュニケーションのマネジメントも同じで、熱意や会議の回数ではなく、 情報が流れる道筋をあらかじめ決めておくことで「届く」状態を作ります。
計画で決める四つ
- 誰に — 経営層、利用部門、開発チーム、委託先。立場ごとに必要な情報は違う
- 何を — 進捗、決定事項、課題、変更の内容
- いつ・どの頻度で — 週次、月次、決まった時点、事象が起きたとき
- どの手段で — 会議、報告書、チャット、共有サイトへの掲示
手段を選ぶときは、こちらから届ける形(会議、報告書、通知)と、相手に取りに来て もらう形(共有サイトに置く)を使い分けます。伝わらないと困る決定事項は前者、 必要に応じて参照する資料は後者が向きます。この使い分けを決めていないと、 「送ったつもり」と「見ていない」がすれ違います。
近い活動との違い
| 活動 | 何を決めるか |
|---|---|
| コミュニケーションのマネジメント | 誰に何をいつどの手段で伝えるか |
| 体制図 | 指示と報告の経路、誰が誰に報告するか |
| 進捗管理 | 計画と実績の差を把握し、遅れに手を打つ |
| ツールの導入 | 伝えるための道具をそろえる |
試験では「会議を増やす」「とりあえず全員に送る」という選択肢が誤りになりがちです。 量を増やす話ではなく、届く仕組みをあらかじめ決める話だと押さえてください。