自社の機器を置いたデータセンターが地震で被災し、プロジェクトの成果物が 失われるリスクを検討した。被災そのものを自社では防げないため、損害を 補償する保険に加入することにした。この対応にあたるものはどれか。
正解:エ
アリスクの回避
誤り。リスクの原因そのものを取り除き、起こり得ない状態にする対応です。 今回でいえば、被災の恐れが小さい地域の施設へ移す、その機器を使う計画を やめる、といった判断が回避にあたります。保険は被災の可能性を変えません。
イリスクの軽減
誤り。発生の可能性か、起きたときの影響のどちらかを小さくする対応です。 耐震の設備を入れる、遠隔地にバックアップを置くといった手が軽減です。 保険は被害の大きさ自体を減らすものではない、というところで分かれます。
ウリスクの受容
誤り。影響が小さい、対策の費用が見合わないなどの理由で、あえて手を打たずに 受け入れる対応です。今回は保険料という費用を払って備えているので、 受け入れたことにはなりません。何もしないかどうかが見分け方です。
エリスクの転嫁
正解。保険料を払う代わりに、被災したときの損失の負担を保険会社に引き受けて もらう対応です。地震が起きる可能性も被害の大きさも変わりませんが、 自社が負う損害が他者へ移る点が転嫁(移転)です。
起きる前に、四つのうちどれで構えるかを決める
リスクは「起きてから考える」ものではなく、起きる前に構え方を決めておくものです。 プロジェクトで洗い出したリスクには、発生の可能性と、起きたときの影響の大きさを 見積もったうえで、次の四つのどれで対応するかを割り当てます。
- 回避 — 原因そのものをなくす。危ない方法を採らない、計画から外す
- 軽減(低減) — 可能性か影響を小さくする。二重化、バックアップ、事前の訓練
- 転嫁(移転) — 損失の負担を他者へ移す。保険、外部への委託と契約
- 受容 — 手を打たずに受け入れる。影響が小さい、対策の費用が見合わない場合
同じリスクでも、選ぶ対応は一つとは限りません。軽減したうえで、残った分を転嫁し、 それでも残る小さな部分は受容する、という重ね方が実際にはよく取られます。
「保険」と「バックアップ」はどこが違うのか
| 対応策 | 何が変わるか | 例 |
|---|---|---|
| 回避 | 発生の可能性がゼロになる | その技術を使わない |
| 軽減 | 可能性か影響が小さくなる | 遠隔地にバックアップを置く |
| 転嫁 | 可能性も影響も変わらず、負担だけ移る | 保険に加入する |
| 受容 | 何も変わらない(承知のうえで受ける) | 影響の小さい不具合は受け入れる |
見分けの決め手は「誰が損を被るか」です。保険やアウトソーシングのように、 起きること自体は止められないが負担を他者に持ってもらう形なら転嫁。 自分たちで被害そのものを小さくする手を打っているなら軽減、と切り分けてください。