セキュリティ関連法規その他セキュリティ関連法規★★☆

刑法の「不正指令電磁的記録に関する罪」(いわゆるウイルス作成罪)が 処罰の対象とする行為の範囲について、最も適切なものはどれか。

正解:

  1. 作成や提供のほか、他人のコンピュータで実行させる行為や、正当な理由のない取得・保管も対象となる。

    正解。この罪は作成罪・提供罪・供用罪・取得罪・保管罪の総称で、自分で作って いなくても、正当な理由なくウイルスを手に入れて持っているだけで対象になり得ます。 「作成罪」という通称から受ける印象より範囲が広い点が要注意です。

  2. 実際に他人のコンピュータで実行され、データの消去などの被害が生じた場合に限られる。

    誤り。被害の発生を待たずに処罰できるようにしたところが、この罪が新設された 意味です。他人のコンピュータで実行させようとして失敗した場合(供用の未遂)も 処罰の対象とされており、結果が出たかどうかで線が引かれるわけではありません。

  3. 自らウイルスを作成した者だけが対象で、他人が作ったものを入手した者は含まれない。

    誤り。作った者だけを罰するなら、出回っているウイルスを拾って攻撃に使う者を 止められません。正当な理由なく実行の用に供する目的で取得・保管する行為も 別に規定されています。自ら作出したか入手したかで対象が切れるのではありません。

  4. 他人のIDとパスワードを用いてコンピュータにログインする行為だけが対象となる。

    誤り。これは不正アクセス禁止法が禁じる不正アクセス行為の説明です。認証を 突破して入り込む行為を規制するもので、コンピュータに意図しない動作をさせる 不正な指令そのものを規制するこの罪とは、狙っている対象が違います。

「ウイルス作成罪」は通称、正式には別の名前

よく「ウイルス作成罪」と呼ばれますが、これは俗称です。刑法上の正式な呼び方は 不正指令電磁的記録に関する罪で、2011年の刑法改正で新設されました。 「不正指令電磁的記録」とは、コンピュータの利用者の意図に反する動作をさせる、 不正な指令を与える記録、平たく言えばコンピュータウイルスのことです。

名前より広い、5つの行為

正当な理由がないのに、人のコンピュータで実行させる目的で次の行為をすると 対象になります。

  • 作成・提供:ウイルスを作る、他人に渡す
  • 供用:他人のコンピュータで実際に実行させる(実行に至らなかった場合も処罰)
  • 取得・保管:他人が作ったウイルスを手に入れる、手元に置いておく

逆に言えば、ウイルス対策ソフトの開発や研究のように正当な理由がある場合は 対象になりません。「持っているだけでアウト」ではなく、目的と理由が問われます。

混同しやすいものとの違い

行為 どの法律の何に当たるか
ウイルスを作る・渡す・実行させる・持つ 刑法の不正指令電磁的記録に関する罪
他人のIDでログインする 不正アクセス禁止法の不正アクセス行為
他人のIDを第三者に教える 不正アクセス禁止法の助長する行為
偽サイトでIDの入力を求める 不正アクセス禁止法のフィッシング行為

規制の対象が「プログラムの働き」か「認証の突破」かが見分け方です。 問題文にウイルスやプログラムが出てくれば刑法、ID・パスワードが出てくれば 不正アクセス禁止法、と読み分けられます。

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