セキュリティ関連法規その他セキュリティ関連法規★☆☆

コンピュータウイルスを作ったり配ったりする行為を処罰する刑法の規定は、 一般に「ウイルス作成罪」と呼ばれる。この通称に対応する刑法上の 正式な罪名として、最も適切なものはどれか。

正解:

  1. 電子計算機損壊等業務妨害罪

    誤り。これはコンピュータや業務用の電磁的記録を壊す、虚偽の情報を与えるなどして 人の業務を妨害したときに成立する罪です。ウイルスが手段として使われることは ありますが、着目しているのは「業務が妨害されたこと」であって、不正な指令を 与えるプログラムそのものの作成や保管ではありません。

  2. 電磁的記録不正作出及び供用罪

    誤り。これは事務処理を誤らせる目的で、権利や義務に関する電磁的記録(口座の 残高データなど)を不正に作り出し、または使う罪です。「電磁的記録」という語が 共通するので紛らわしいのですが、対象は内容が偽られた記録であって、 コンピュータに意図しない動作をさせる「指令」ではありません。

  3. 不正指令電磁的記録に関する罪

    正解。2011年の刑法改正で新設された規定(第168条の2・第168条の3)の呼び方で、 作成・提供・供用・取得・保管をまとめて指します。「ウイルス作成罪」は 条文には出てこない通称です。

  4. 電子計算機使用詐欺罪

    誤り。これはコンピュータに虚偽の情報や不正な指令を与えて、他人名義の不正送金の ように財産上の利益を得たときに成立する罪です。ウイルスが手段になることは ありますが、財産上の利益を得たことが要件であり、プログラムを作った段階を とらえる規定ではありません。

通称と正式名称がずれている罪

ニュースでも参考書でも「ウイルス作成罪」と書かれますが、刑法の条文にその言葉は 出てきません。正式には 不正指令電磁的記録に関する罪 といいます。2011年の 刑法改正で新しい章として加えられた、比較的新しい規定です。

「不正指令電磁的記録」とは、利用者の意図に反する動作をさせる不正な指令を 与える記録、平たく言えばコンピュータウイルスのことです。名前を分解すると 「不正な/指令を与える/電磁的な記録」と読めます。

刑法にあるコンピュータ関連の罪

刑法にはコンピュータに関わる罪がいくつも置かれており、名前が似ているため 混同しやすいところです。何に着目した罪なのかで整理します。

罪名 何をとらえた罪か
不正指令電磁的記録に関する罪 ウイルスそのものの作成・提供・供用・取得・保管
電子計算機損壊等業務妨害罪 コンピュータを使えなくして業務を妨害したこと
電子計算機使用詐欺罪 コンピュータを使って財産上の利益を得たこと
電磁的記録不正作出及び供用罪 内容が偽られた電磁的記録を作り出したこと

同じウイルスを使った事件でも、プログラムを作った段階をとらえるのか、その結果として 業務が止まったことや金銭を得たことをとらえるのかで、適用される罪は変わります。 試験では、まず正式名称と「ウイルス作成罪」という通称の対応を押さえてください。

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