ビジネス変革の方法論イノベーションマネジメント★★★

A社は、イノベーションマネジメントの原理原則の一つである「不確実性の マネジメント」に沿って新規事業を進めることにした。この原則に沿った 取組みとして、最も適切なものはどれか。

正解:

  1. 経営戦略と結び付けた目標を掲げ、必要な人員と予算をそこへ重点的に配分する。

    誤り。これは「戦略的方向性」に当たる取組みです。イノベーションの目標を組織の 目指す方向とそろえ、資源の裏付けを与えることを求める原則で、どこを目指すかを 決める話です。不確実性のマネジメントは、目指す先を決めた後の進め方に関わります。

  2. 顧客の声や技術の兆しを社内外から幅広く集め、表に出ていない需要を見つけ出す。

    誤り。これは「洞察の活用」に当たる取組みです。多様な情報源から知見を組み立て、 言葉になっていない需要まで捉えることを求めます。機会を見つけ出す原則であり、 見つけた機会をどう試すかを扱う不確実性のマネジメントとは役割が違います。

  3. 結果が読み切れない案件を複数抱えて試し、中止した案件も学びとして次に生かす。

    正解。イノベーションには、やってみないと分からない部分が必ず残ります。 不確実性を避けるのではなく、試して学ぶことを繰り返し、複数の機会を束ねて 扱うことで引き受けます。中止も学びとして扱える点が要点です。

  4. 失敗を責めない風土をつくり、部門を越えて意見を出し合える場を継続して設ける。

    誤り。これは「組織文化」に当たる取組みです。挑戦や協働を支える価値観と行動を 根付かせ、創造性と実行が両立する土台をつくる原則です。不確実性のマネジメントは、 その土台の上で個々の取組みをどう進めるかという話になります。

不確実性は、なくしてから動くものではない

新しいことを始めるとき、売れるかどうか、技術が使い物になるかどうかは、 事前には分かりません。分からないことをすべて消してから動こうとすると、 いつまでも動けません。不確実性は、消す対象ではなく引き受ける対象である、 というのがこの原則の立場です。

引き受けるための具体的なやり方は次のようなものです。

  • 小さく試し、その結果から学んで次の一手を決める、を繰り返す
  • 見込みのある案件を複数持っておく(一つの当たり外れで全体が傾かないようにする)
  • 中止した案件を失敗として片付けず、そこで得た知見を次の案件に引き継ぐ

品質や環境のマネジメントがリスクを減らす方向を向いているのに対し、 イノベーションではリスクを引き受けて価値に変えるところが違います。

原則は、現場での現れ方で見分ける

イノベーションマネジメントの原理原則は、価値の実現、未来志向リーダー、 戦略的方向性、組織文化、洞察の活用、不確実性のマネジメント、柔軟性、 システムアプローチの8つです。名前を覚えるより、どの行動がどれに当たるかで捉えます。

原則 現場での現れ方
戦略的方向性 目標を組織の方向とそろえ、人と予算を裏付ける
組織文化 挑戦と協働を支える価値観・行動を根付かせる
洞察の活用 内外の情報から知見を組み立て、機会を見つける
不確実性のマネジメント 試して学ぶことを重ね、複数の機会を束ねて扱う

残る柔軟性は、環境が変わったときに体制や進め方そのものを変えること、 システムアプローチは、イノベーションを個別の取組みの寄せ集めではなく、 互いに関係し合う一つの仕組みとして扱うことを指します。

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