正解:エ
各選択肢の解説
ア再委託は委託先の責任で行うものとし、再委託先の選定と管理は委託先の判断に任せる。
誤り。委託先が責任を負うのだから任せればよい、という考え方です。しかし委託元は、 自社の情報がどこで誰に扱われるかを把握できなくなります。委託元が知らない会社に情報が渡る状態は、 委託先の管理責任を定めても防げません。
イ再委託をした場合は、委託の終了時に再委託先の名称と作業内容を報告させる。
誤り。報告を求める点はよいのですが、時期が事後です。終了時に知っても、再委託先の 管理体制を確かめないまま情報がすでに渡っています。再委託は、情報を渡す前に委託元が 可否を判断できる形にする必要があります。
ウ再委託先とは委託元が直接NDAを結ぶこととし、委託先の再委託先への管理責任は定めない。
誤り。NDAは秘密を守る義務を負わせますが、日々の作業を監督する仕組みではありません。 委託元と再委託先の間には業務の指示や点検の経路がないので、再委託先を管理できるのは 委託先です。その責任を外すと、管理する者がいなくなります。
エ再委託には委託元の事前の承諾を要し、再委託先にも同等の義務を課して委託先が管理する。
正解。情報が渡る前に委託元が再委託の可否を判断でき、渡った後も、委託先を通じて 再委託先まで同じ水準の管理が及ぶ形です。委託の連鎖のどこにも管理の抜けを作りません。
理解を深めるために
情報は「委託先の先」まで流れていく
荷物の配送を頼んだ会社が、実は別の会社に配達を回していた、ということはよくあります。 荷物なら届けばよいかもしれませんが、預けたのが顧客の個人情報なら話は別です。 自分が知らない会社が情報を扱っている状態は、委託元にとって管理できないリスクそのものです。 だから外部委託契約では、再委託を「起きたら考える」のではなく、起きる前提で条件を決めておきます。
なぜ事前承諾と同等の義務なのか
- 事前承諾: 情報が渡る前に、委託元が再委託先の管理体制を確かめ、可否を判断できる
- 同等の義務: 委託先に課した安全管理や秘密保持の義務を、再委託先にも同じ水準で負わせる
- 委託先の管理責任: 再委託先に日々の作業を指示し点検できるのは委託先なので、その責任を委託先に残す
契約の型によって、再委託の扱いの出発点は違います。民法では、準委任(委任)の受任者は、 委任者の許諾を得たときか、やむを得ない事由があるときでなければ復受任者を選べません(第644条の2)。 一方、請負では契約で制限しない限り、仕事の一部を下請に出せるのが原則です。 どちらの型でも、契約に再委託の条件を書いておけば扱いがはっきりします。
混同しやすいものとの違い
| 定め方 | 委託元が把握できる時期 | 問題点 |
|---|---|---|
| 事前承諾+同等の義務+委託先が管理 | 情報が渡る前 | 管理の抜けがない |
| 委託先の判断に任せる | 把握できない | 知らない会社に情報が渡る |
| 終了時に事後報告 | すべて終わった後 | 確かめる前に情報が渡っている |
| 委託元が再委託先と直接NDA | 契約の時点 | 秘密保持の義務だけで、作業を監督する者がいない |
再委託の問題では「委託元がいつ知り、誰が管理するか」の2点を見ます。事前に判断でき、管理の担い手が決まっている選択肢を選びます。