問題 56★★★

自社が開発・販売しているソフトウェア製品で、すでに出荷した製品にウイルスが 混入していたことが判明した。コンピュータウイルス対策基準に照らして、 ソフトウェア供給者として最も適切な対応はどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. ア感染した製品の使用を中止し、システム管理者に連絡してその指示に従う。

    誤り。これはシステムユーザ基準の事後対応で、システムを利用する人が感染に気づいた ときの行動です。同じ基準の中で立場ごとに対応が分かれているため混同しやすいのですが、 製品を世に出した側は、使う人に知らせて製品を引き揚げる立場です。

  2. イ製品の流通を止め、製品のユーザに情報を通知するとともに、製品を回収する。

    正解。ソフトウェア供給者基準の事後対応は、製品のウイルス感染を発見したら流通を停止し、 製品のユーザに情報を通知するとともに製品の回収を行うことを求めています。

  3. ウウイルスを含むファイルの公開を止め、他のネットワーク事業者にも知らせる。

    誤り。これはネットワーク事業者基準の事後対応で、ネットワークを介して情報を提供する 事業者向けです。「公開を止める」は「流通を止める」と似ていますが、知らせる先が 製品のユーザではなく他の事業者で、製品の回収も含みません。

  4. エ購入者が各自のワクチンで駆除できるよう、出荷を続けながら駆除の方法を案内する。

    誤り。出荷を続ければ感染した製品が新たに広がります。駆除方法の案内は助けになっても、 基準が求める流通の停止と回収の代わりにはなりません。利用者任せにする誤りです。

理解を深めるために

立場ごとに「やること」が分かれている基準

食品の異物混入にたとえると、食べた人は「食べるのをやめて相談する」、 メーカーは「出荷を止めて購入者に知らせ、回収する」。同じ事故でも立場で行動が違います。 コンピュータウイルス対策基準も、ウイルスへの対策を立場ごとに分けてまとめています。

基準の構成

コンピュータウイルス対策基準は、通商産業省(現・経済産業省)の告示です(最終改定は2000年12月)。 次の5つの基準から成り、それぞれに予防から事後対応までの項目があります。

  • システムユーザ基準: システムを利用する者
  • システム管理者基準: システムを導入・維持・管理する者
  • ソフトウェア供給者基準: ソフトウェアを開発し、製品を製造・出荷する者
  • ネットワーク事業者基準: ネットワークを介して情報を提供する事業者
  • システムサービス事業者基準: 管理・保守・レンタル等のサービスを行う事業者

ソフトウェア供給者基準の事後対応では、流通の停止・ユーザへの通知・回収のほか、 被害の拡大と再発を防ぐため、必要な情報を経済産業大臣が指定する者(IPA)に届け出ることも求めています。

混同しやすいものとの違い

基準 事後対応の中心 この場面では
ソフトウェア供給者基準 流通停止・ユーザへの通知・回収 当てはまる
システムユーザ基準 使用中止・管理者へ連絡して指示に従う 利用者の立場
ネットワーク事業者基準 ファイルの公開停止・他事業者への通知 情報を提供する事業者の立場
出荷を続けて駆除を案内 基準に無い利用者任せの対応 感染を広げる

試験では、場面の主語が「使う人」「管理する人」「作って出荷する人」のどれかを まず見極め、その立場の事後対応を選びます。

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