A社では、部門ごとに必要なシステムをその都度導入してきた結果、同じ顧客データが 複数のシステムに重複し、全社の売上を集計するのに手作業が必要になっている。 情報システム戦略の策定として、最も適切なものはどれか。
正解:ア
ア経営戦略を受けて全社で目指す情報システムの姿を定め、個々のシステムの位置付けを整理する
正解。情報システム戦略は、経営戦略が示す方向に情報システム全体をそろえるための 指針です。個別のシステムを作る前に「全社としてどうあるべきか」を決めるので、 重複や分断を根本から断てます。
イ各部門が自部門の業務に最も合う製品をそれぞれ選び、その積み上げを全社の方針とする
誤り。これはA社が今まで取ってきたやり方そのもので、部分最適の積み上げです。 一つ一つの部門にとっては最適でも、全社で見ると重複や連携不能を生みます。 情報システム戦略が全体最適の観点を求めるのは、まさにこれを避けるためです。
ウ開発する個々のシステムについて、費用と稼働時期、担当する体制を具体的に見積もる
誤り。これはシステム化計画の作業です。情報システム戦略が全社の方針を示すのに対し、 システム化計画は個別の開発対象ごとに実現方法を具体化します。粒度が一段下で、 戦略が決まってから立てるものです。
エ稼働中のシステムの障害の発生状況や利用状況を記録し、運用の手順を改善する
誤り。これはシステム運用・保守の活動です。すでに動いているものを維持し改善する 話であり、これから何をどう作るかという企画の話ではありません。部門ごとに 重複したシステムそのものは、運用改善では整理できません。
地図を描いてから道を敷く
部門ごとに欲しいシステムを買っていくのは、住民が思い思いに道を敷くようなものです。 一本ずつは便利でも、街全体で見ると同じ場所に道が二本あったり、 つながっていなかったりします。情報システム戦略は、道を敷く前に描く街の地図にあたります。
何を決めるのか
情報システム戦略は、経営戦略から出発します。経営が目指す姿を実現するために 業務と情報システムがどうあるべきかを描き、全社で守る方針を定めます。
- 業務と情報システムのあるべき姿(何を全社共通にし、何を部門ごとに任せるか)
- 全体最適化の方針(データの持ち方、標準とする技術、投資の優先順位)
- あるべき姿に近づくための中期の計画が情報システム化基本計画(全体システム化計画)
情報システム化基本計画は、どのシステムをいつごろ手掛けるかを全社レベルで 並べたものです。案件ごとの見積書ではありません。
混同しやすいものとの違い
| 段階 | 決めること | 粒度 |
|---|---|---|
| 情報システム戦略 | 全社のあるべき姿と全体最適化の方針 | 全社 |
| 情報システム化基本計画 | どのシステムをいつごろ手掛けるか | 全社の計画 |
| システム化計画 | 個別案件の実現方法・費用・体制・日程 | 案件ごと |
試験では「経営戦略に基づいて」「全社で」という言葉が出たら情報システム戦略、 「この案件について」費用や体制を詰める話ならシステム化計画、と読み分けます。