製造業のA社では、会計・人事・生産・販売の各部門がそれぞれ別のシステムを使っており、 同じ内容を何度も入力し直している。部門をまたいでデータを共有し、 全社の状況を一つの仕組みで把握できるようにしたい。導入するものとして最も適切なものはどれか。
正解:イ
アSCM。調達から生産・物流・販売までの流れを、社外の取引先も含めて最適化する。
誤り。SCMは、原材料の調達から生産・物流・販売までの流れを、部品メーカーや卸売業者など 社外の取引先まで含めて最適化する考え方です。A社の困りごとは社内の部門間でデータが 分かれていることなので、企業をまたいだ供給の流れを主眼に置くSCMとは向きがずれます。
イERP。会計・人事・生産・販売などの基幹業務を統合し、経営資源を一元管理する。
正解。ERPは基幹業務を一つのデータベースの上に載せ、どの部門も同じデータを見る形にします。 入力が1回で済むようになり、全社の状況をそのまま把握できます。
ウCRM。顧客ごとの問合せや購買の履歴を蓄積し、長期的な関係づくりに生かす。
誤り。CRMは顧客との関係を築くことが目的で、問合せ履歴や購買履歴を顧客単位に集約します。 「情報を一元管理する」という言い方が共通するため混同しますが、集める対象は顧客に関する 情報であって、会計や人事の業務データまでは扱いません。
エSFA。商談の進捗や訪問の記録を共有し、営業担当者一人ひとりの活動を支援する。
誤り。SFAは営業活動そのものを支える仕組みで、案件の進み具合や訪問記録を共有し、 取りこぼしや属人化を防ぎます。CRMと近い領域ですが対象は営業部門に限られるため、 会計・人事・生産まで含めた全社の統合には届きません。
どこまでを一つにまとめるかの違い
4つとも「情報を一元管理する」仕組みですが、まとめる範囲が違います。 範囲の広さで並べると、SFA(営業活動)→ CRM(顧客との接点全体)→ ERP(自社の基幹業務全体)→ SCM(自社の外の取引先まで)という順になります。
A社の問題は、部門ごとにシステムが分かれていて同じ入力を繰り返していることです。 これは自社の中の話なので、社内の基幹業務をまとめるERPが当てはまります。
ERPが解決していること
部門ごとにシステムを作ると、売上のデータが販売システムと会計システムの両方に必要になり、 同じ数字を二度入力することになります。転記のたびに食い違いが起き、 全社の数字を出すのに集計作業が発生します。
ERPは会計・人事・生産・販売を一つのデータベースの上に載せるため、 販売で登録した実績がそのまま会計にも在庫にも反映されます。 経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)をまとめて管理するという意味で 「企業資源計画」と呼ばれます。
4つの並べ方
| 略語 | まとめる対象 |
|---|---|
| ERP | 自社の基幹業務全体(会計・人事・生産・販売) |
| CRM | 顧客との関係。問合せ・購買の履歴を顧客ごとに集約 |
| SFA | 営業活動。商談の進捗、訪問記録、案件の管理 |
| SCM | 調達から販売までの流れ。社外の取引先を含む |
CRMとSFAは重なりが大きく、製品としても一体で提供されることがあります。 試験では「顧客との関係全体を見るのか、営業担当者の活動そのものを支えるのか」で 読み分けます。問題文が全社の基幹業務を指していればERP、 社外との供給の流れを指していればSCMです。