問題 1★★☆

企業経営に関する考え方のうち、コーポレートガバナンスの説明として最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア法令や社内規程、社会の規範を守って事業活動を行うこと。

    誤り。これはコンプライアンスの説明です。ガバナンスとよく並べて語られますが、 コンプライアンスは企業が「守る」という行動そのものを指します。 ガバナンスは、その行動が確実に取られるよう経営を規律付ける仕組みのほうです。

  2. イ事業活動が人々の人権に与える負の影響を防ぎ、生じたときは是正すること。

    誤り。これは「ビジネスと人権」の考え方です。自社の従業員だけでなく、 取引先や地域の人々まで含めて配慮する取組で、企業が果たすべき責任の中身にあたります。 ガバナンスは、こうした取組が経営として行われているかを監視する側の枠組みです。

  3. ウ職場で優越的な関係を背景とした言動により、就業環境を害する行為のこと。

    誤り。これはハラスメントの説明で、コンプライアンスやガバナンスが防ごうとする 問題行為の一つです。防ぐ対象そのものであって、経営を監視し規律付ける 仕組みの説明にはなっていません。

  4. エ株主などの関係者が経営を監視し、健全で透明な経営を保たせる仕組み。

    正解。経営者に権限が集中したままだと、株主や従業員、取引先の利益に反する経営が 行われても止められません。社外取締役や監査役、株主総会などを通じて 経営を外から監視し規律付ける。この枠組み全体がコーポレートガバナンスです。

理解を深めるために

「守る側」と「見張る仕組み」

コーポレートガバナンスとコンプライアンスは同じ文脈でよく一緒に出てきますが、 立っている位置が違います。

スポーツにたとえると、ルールを守ってプレーするのがコンプライアンスです。 選手が本当にルールどおりにやっているかを見るのが審判の役目で、 この審判にあたる仕組みを会社に用意することがコーポレートガバナンスです。

なぜ監視する仕組みが要るのか

会社の持ち主は株主ですが、実際に経営するのは経営者です。持ち主と動かす人が 分かれているため、放っておくと経営者が自分に都合のよい判断をしても 株主には見えません。そこで次のような仕組みが置かれます。

  • 社外取締役 — 社内のしがらみのない立場から経営判断をチェックする
  • 監査役など — 取締役の職務の執行が適正かを監査する
  • 株主総会・情報開示 — 株主が経営の状況を知り、意思を示す場をつくる

目的は不正を防ぐことだけではありません。経営が健全で透明であれば投資家からの 信頼が高まり、資金も人も集まりやすくなる。企業価値を高める活動でもあります。

混同しやすいものとの違い

用語 位置づけ
コーポレートガバナンス 経営を監視し規律付ける仕組み(企業統治)
コンプライアンス 法令や社会規範を守るという企業側の行動(法令遵守)
ビジネスと人権 事業活動が人権に与える負の影響を防ぎ、是正する取組
ハラスメント 就業環境を害する言動。防止すべき問題行為の一つ

「監視」「規律付け」「株主」「透明性」という語が出たらガバナンス、 「遵守」「守る」が出たらコンプライアンスと判断すると迷いません。

次の問題へ