ガバナンス・監査内部統制・デジタルガバナンス★★★

A社の購買業務では、担当者1名が仕入先への発注、納品物の検収、支払の承認をすべて 一人で行っている。不正や誤りが起きにくい体制にするために取り入れる内部統制の 考え方として、最も適切なものはどれか。

正解:

  1. 一連の業務を複数の担当者に分担させ、互いに確認し合う状態をつくる。

    正解。職務分掌です。発注する人、検収する人、支払を承認する人を分ければ、 一人の判断だけで支払まで通ってしまうことがなくなります。 相互に牽制が働き、意図的な不正も入力の誤りも別の担当者の段階で気づかれます。

  2. 業務の流れと手順を文書にまとめ、誰が担当しても同じ手順で進むようにする。

    誤り。業務プロセスの明確化や実施ルールの設定にあたり、内部統制として重要ですが、 この場面の問題は「一人に権限が集中していること」です。手順を文書にしても、 その手順を最初から最後まで一人で実行できる状態そのものは変わりません。

  3. 業務部門、管理部門、内部監査の役割を整理し、組織全体の責任分担を示す。

    誤り。これは3つのラインモデル(Three Lines Model)の考え方です。 組織全体をどう構えるかという上位の枠組みであり、 一つの業務の中で担当者をどう分けるかという職務分掌とは層が違います。

  4. 起きた誤りを、意図があったかどうかで分類して記録し、再発防止に生かす。

    誤り。誤謬(意図しない誤り)と不正(意図的な行為)の区別の話です。 内部統制ではどちらも防ぐ対象として扱いますが、これは起きた後の分類であり、 一人に権限が集中した状態そのものを解消する仕組みにはなりません。

一人で完結させないことが最初の一手

内部統制でまず出てくるのが職務分掌です。一つの取引を「頼む」「受け取る」 「払う」に分け、それぞれ別の人が担当する。こうすると、架空の発注をしても 検収する人が実物のない納品に気づき、支払の承認まで進みません。

現金を扱う店で「レジを打つ人」と「金庫を開ける人」を分けるのと同じ発想です。 特定の個人を疑っているのではなく、一人では完結できない形にしておくことで、 不正の機会そのものをなくし、担当者を疑いから守る意味もあります。

内部統制を支える仕組み

仕組み 中身
職務分掌 一連の業務を複数人に分け、相互に牽制が働くようにする
業務プロセスの明確化 業務の流れと担当を整理し、手順を文書として定める
チェック体制の確立 上長の承認や二重確認など、誤りを見つける手続を組み込む
誤謬と不正 内部統制が防ぐ対象。意図の有無で区別するが、どちらも対象

3つのラインモデル

組織全体では、役割を3つのラインに分ける3つのラインモデル(Three Lines Model) という整理が使われます。第1ラインは現場の業務部門、第2ラインはリスク管理や 法務などの管理部門、第3ラインは内部監査です。

もとは「3つのディフェンスライン」と呼ばれていましたが、リスクを防ぐだけでなく 組織の目的達成や価値の創造に貢献する面も含めるため、現在は「ディフェンス」が 外れた3つのラインモデルという名称になっています。

職務分掌が「一つの業務の中での分担」なのに対し、こちらは「組織全体での役割分担」。 問われている粒度がどちらなのかで見分けます。

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