上場企業であるA社は、毎年、契約している監査法人から財務諸表の監査を受けている。 A社が受けているこの監査の形態の組合せとして、最も適切なものはどれか。
正解:イ
ア内部監査であり、任意監査でもある。
誤り。組合せとしては成り立ちますが、A社の例には当たりません。 この組合せは、自社の内部監査部門が経営者の指示で行う監査などが該当します。 A社の監査を実施しているのは社外の監査法人なので、内部監査ではありません。
イ外部監査であり、法定監査でもある。
正解。実施するのは組織の外部にいる公認会計士・監査法人なので外部監査、 上場企業が財務諸表の監査を受けることは法令上の義務なので法定監査です。 「誰が行うか」と「義務か任意か」は別の軸なので、両方を同時に満たします。
ウ内部監査であり、法定監査でもある。
誤り。「誰が行うか」の判断が違います。内部監査は組織内部の監査部門などが 自組織を対象に行うもので、経営者への報告を目的とします。 法令が義務付けている会計監査を担うのは、組織の外部にいる専門家です。
エ外部監査であり、任意監査でもある。
誤り。「義務か任意か」の判断が違います。この組合せは、法令の義務がないのに 企業が自ら外部の専門家へ依頼するシステム監査などが該当します。 上場企業の財務諸表監査は、企業が受けるかどうかを選べるものではありません。
監査の分類は「軸が2本ある」
監査の形態でつまずくのは、分類の切り口が1つだと思ってしまうからです。 実際には独立した軸が2本あります。
- 誰が行うか — 組織の内部の人か(内部監査)、外部の第三者か(外部監査)
- 義務か任意か — 法令で受けることが決まっているか(法定監査)、 企業が自ら決めて受けるか(任意監査)
軸が2本あるので、組合せは4通り。「外部監査だから法定監査」ではありません。
4通りをうめてみる
| 法定監査 | 任意監査 | |
|---|---|---|
| 外部監査 | 上場企業の財務諸表監査 | 外部業者に依頼するシステム監査 |
| 内部監査 | 一般には該当しない | 内部監査部門による業務監査 |
上場企業の財務諸表監査は、投資家が決算の数値を信じて売買できるようにするための 制度なので、監査する人が会社から独立していなければ意味がありません。 だから「外部の専門家が行う」ことと「法令で義務付ける」ことがセットになっています。
一方、内部監査は経営者が自社の状況を知るために置く仕組みで、 法令が一律に義務付けているものではありません。実施の範囲も時期も、 経営者の判断で決められます。
試験での見分け方
「監査法人」「公認会計士」とあれば外部監査、「内部監査部門」「経営者へ報告」と あれば内部監査。「法令に基づき」「上場企業として」とあれば法定監査、 「自社の判断で」とあれば任意監査です。2つの軸を別々に読むのがコツです。