鉄道の駅で、日本語が読めない訪日客や、まだ文字を習っていない子供にも 案内所や手荷物預かり所の場所が伝わる案内表示にしたい。 表示の方法として、最も適切なものはどれか。
正解:ウ
ア案内表示の文言を、利用者の多い複数の言語で併記する。
誤り。多言語の併記は有効な手立てですが、併記できる言語の数には限りがあり、 表示面が文字で埋まるほど読みにくくもなります。載せなかった言語の利用者や、 文字そのものを読めない人には届きません。
イ多様な利用者に設計の段階から加わってもらい、表示案を一緒に考える。
誤り。これはインクルーシブデザインの進め方です。設計の過程に当事者を 巻き込む考え方であって、案内表示をどう作るかという手段そのものではありません。 ここで問われているのは表示の方法です。
ウ案内用図記号(ピクトグラム)を用い、絵の形で対象や場所を示す。
正解。ピクトグラムは文字や言語によらず、絵の形だけで対象や場所を伝える 図記号です。読み手の言語や識字の有無に左右されず意味が届きます。
エ表示の文字を大きくし、背景との明暗の差を強くして読みやすくする。
誤り。文字の大きさや背景とのコントラストを整えるのは、見えにくい人への 配慮として重要です。ただし改善されるのは「文字の読み取りやすさ」で、 書かれた言語が分からない人には意味が伝わりません。
絵で伝えれば、読めなくても分かる
非常口の走る人、トイレの男女、手荷物のかばん。 これらは説明を受けなくても意味が分かります。 文字・言語によらず、対象や場所、状態を絵の形で伝える図記号が ピクトグラム(案内用図記号)です。
駅や空港、病院のように、話す言葉も年齢もばらばらな人が集まる場所では、 文字による案内は必ず誰かに届きません。ピクトグラムはその「誰か」を 減らすための手段で、ユニバーサルデザインの代表例として挙げられます。
ユニバーサルデザインの位置づけ
ユニバーサルデザインは、年齢や能力、言語の違いにかかわらず、 はじめから誰もが使えるように設計する考え方です。 後から特定の人向けに手を加えるのではなく、 最初の設計に多様さを織り込む点が要点になります。
ピクトグラムはその設計を形にした手段の一つ、というつながりで覚えてください。
混同しやすいものとの違い
| 用語・手立て | 何をするものか |
|---|---|
| ピクトグラム | 文字によらず絵の形で意味を伝える図記号 |
| インクルーシブデザイン | 多様な利用者を設計の段階から巻き込む進め方 |
| 多言語表記 | 複数の言語を併記する。載せた言語の人にだけ届く |
| 文字の拡大・明暗差 | 見えにくさへの配慮。言語の壁は越えられない |
「進め方」を問われているのか「表示の手段」を問われているのかを 読み分けると、インクルーシブデザインとの取り違えを防げます。