ある部署では、社内報に載せる写真はデータ量を大きく減らせる圧縮方式で保存し、 契約書や会計データのファイルはZIPで圧縮して保存している。会計データに写真と 同じ圧縮方式を使わないことにした理由として、最も適切なものはどれか。
正解:ア
ア写真向けの方式は情報の一部を捨てて容量を減らすため、展開しても元の値が完全には戻らないから。
正解。写真に使われるのは非可逆圧縮で、人が気づきにくい情報を削ることで 大きく容量を減らしています。削った分は復元できないため、1円単位まで 元どおりでなければ困る会計データには使えません。
イ写真向けの方式は画像専用であり、ZIPと違って複数のファイルを一つにまとめられないから。
誤り。これはアーカイブ(複数のファイルを一つの書庫にまとめること)の話です。 ZIPは圧縮とまとめる機能を兼ねていますが、まとめられないことは会計データに 使えない理由になりません。1ファイルずつ圧縮すれば済むからです。
ウ写真向けの方式は圧縮率が常に一定で、会計データではかえってデータ量が増えてしまうから。
誤り。圧縮率はデータの中身によって変わるもので、方式ごとに決まった値が あるわけではありません。また、非可逆圧縮を使うと必ずデータ量が増えるという 事実もありません。使えない理由は量ではなく、元に戻らないことです。
エ写真向けの方式は展開に鍵が必要で、鍵を失うと会計データを読み出せなくなるから。
誤り。鍵を使って内容を読めない形に変える処理は暗号化で、容量を小さくする 圧縮とは目的の異なる別の処理です。ZIPにパスワードを付けることはできますが、 それは圧縮方式そのものの性質ではありません。
削って小さくするか、たたんで小さくするか
圧縮には二つの考え方があります。
一つは、データの並びに現れる規則性を利用して、たたむように詰め込む方法です。 展開すれば元のデータが1バイトも違わずに戻ります。これが可逆圧縮で、 ZIPが代表例です。
もう一つは、人の目や耳が気づきにくい情報をあらかじめ捨ててしまう方法です。 捨てた分は二度と戻りませんが、そのぶん容量を大きく減らせます。これが非可逆圧縮で、 写真や音声、動画で使われます。
選び分けは「元に戻らなくてよいか」だけで決まる
- 文書、表計算、プログラム、会計データ … 1文字でも変わったら困る → 可逆圧縮
- 写真、音声、動画 … わずかな劣化より容量の小ささを優先したい → 非可逆圧縮
なお圧縮率(圧縮後が圧縮前のどれくらいになるか)は、データの中身によって変わります。 同じ方式でも、規則性の多いデータほどよく縮み、すでに圧縮済みのデータはほとんど縮みません。 方式ごとに固定の値が決まっているわけではない、という点に注意してください。
混同しやすいものとの違い
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| 可逆圧縮 | 展開すると元と完全に同じデータに戻る。ZIPなど |
| 非可逆圧縮 | 情報を捨てて大きく縮める。元には戻らない |
| アーカイブ | 複数のファイルを一つにまとめること。圧縮とは別の機能 |
| 暗号化 | 鍵がなければ読めない形に変えること。容量は減らない |
試験では「展開したあと、元と一致している必要があるか」という形で問われます。 一致が必要なら可逆圧縮、容量を優先してよいなら非可逆圧縮、と結び付けて覚えてください。