G社は、売上が伸び悩んでも赤字になりにくい体質にするため、 損益分岐点売上高を下げたいと考えている。 この目的に合う施策として、最も適切なものはどれか。
正解:エ
ア固定費と変動費はそのままにして、販売量を増やし売上高を伸ばす。
誤り。販売量が増えれば利益は増えますが、損益分岐点売上高そのものは動きません。 損益分岐点は固定費と変動費の割合だけで決まる「収支がゼロになる売上高」であり、 実際にいくら売ったかとは切り離された値です。
イ生産体制を強化するため、正社員を増やして毎月の人件費を積み増す。
誤り。人件費は売上高の増減にかかわらず発生する固定費です。回収すべき 固定費が増えると、収支がゼロになる売上高も大きくなります。 売上を伸ばす効果はあっても、損益分岐点は下がるどころか上がります。
ウ仕入先を変えて、製品1個当たりの材料費が上がることを受け入れる。
誤り。材料費は売れた数に比例して増える変動費です。1個当たりの変動費が 上がると1個売るごとに手元に残る利益が減るため、固定費を回収し終えるまでに 必要な売上高が増え、損益分岐点は上がります。
エ事業所を集約し、売上高に関係なく毎月生じる賃借料を減らす。
正解。賃借料は代表的な固定費です。回収すべき固定費が小さくなれば、 収支がゼロになる売上高も下がります。売上が落ち込んでも赤字に転じにくくなる、 という狙いにそのまま合致します。
損益分岐点は「ここまで売れば赤字を脱する」線
費用には2種類あります。売れても売れなくても毎月かかる固定費(賃借料、 正社員の人件費、減価償却費など)と、売れた分だけかかる変動費(材料費、 仕入原価、販売手数料など)です。
商品を1個売ると、売価から変動費を引いた分だけ手元に残ります。 この残りを積み上げて固定費をちょうど回収しきった地点が損益分岐点です。 そこを超えた分から先が利益になります。
だから、下げる方法は2つしかない
- 固定費を減らす — 回収すべき総額が小さくなり、早く分岐点に届く
- 変動費の割合を下げる — 1個売るごとに残る額が増え、少ない販売数で回収できる
逆にいえば、販売量をいくら増やしても分岐点そのものは動きません。 分岐点は「費用の構造」で決まる線であり、販売量は「その線をどれだけ超えたか」 を表すものだからです。ここが最も間違えやすい点です。
費用の分類を取り違えないために
| 区分 | 例 | 売上が半分になると |
|---|---|---|
| 固定費 | 賃借料、正社員の人件費、減価償却費 | 金額は変わらない |
| 変動費 | 材料費、仕入原価、販売手数料 | おおむね半分になる |
固定費が重い会社は、売れているときは利益が大きく伸びる一方、 売上が落ちたときの赤字転落も早くなります。 損益分岐点を下げるとは、この落ち込みへの耐性を上げることにほかなりません。