経営・組織論会計・財務★★☆

上場企業が行う情報開示のうち、決算短信の説明として最も適切なものはどれか。

正解:

  1. 金融商品取引法に基づいて国に提出し、監査を受けた財務諸表や事業内容を詳しく載せる。

    誤り。これは有価証券報告書の説明です。決算短信と同じく決算の数値を扱いますが、 法律に基づく義務であり、公認会計士等の監査報告書が付きます。 正確さを重んじるため、公表は決算短信より後になります。

  2. 証券取引所の規則に基づいて、決算の内容が固まり次第すみやかに公表する速報資料。

    正解。決算短信は「投資家に決算をいち早く伝える」ための開示です。 法令ではなく証券取引所の適時開示のルールに基づくもので、 監査の完了を待たずに公表される点が有価証券報告書と大きく違います。

  3. 会社法に基づいて作成し、株主総会での報告や承認を受けるための計算書類である。

    誤り。これは会社法上の計算書類の説明です。宛先が株主であり、 株主総会という手続に結び付いている点が特徴です。 決算短信は株主総会を待たず、市場の投資家全体に向けて公表されます。

  4. 法令上の作成義務はなく、投資家向けに事業や経営方針を分かりやすく紹介する。

    誤り。これはアニュアルレポートなど任意のIR資料の説明です。 決算短信も投資家向けという点は同じですが、上場している限り決算のたびに 必ず開示するものであり、企業の判断で出すかどうかを選べません。

「速報」と「確定版」の関係

決算の開示は、テレビの選挙報道に似ています。 開票が進んだ段階でまず速報が流れ、後から正式な確定結果が公表される。 この速報にあたるのが決算短信、確定版にあたるのが有価証券報告書です。

投資家は決算の数値を早く知りたいので、速報がなければ判断が遅れます。 一方で、速報だけでは根拠の裏付けが足りません。両方あることで、 「早さ」と「正確さ」という相反する要求が満たされています。

二つの違いはどこにあるか

決算短信 有価証券報告書
根拠 証券取引所の適時開示ルール 金融商品取引法
提出先 証券取引所 国(金融庁の窓口)
監査 不要 公認会計士等の監査報告書が付く
中身 決算数値が中心の要点 事業内容やリスク情報まで詳しい

決算短信は決算期末から45日以内が望ましいとされ、 有価証券報告書は事業年度の経過後3か月以内の提出が求められます。 順序としては、必ず決算短信が先です。

試験での見分け方

「法令に基づく」「監査を受けた」とあれば有価証券報告書、 「取引所の規則」「速報」「いち早く」とあれば決算短信です。 どちらも投資家に向けた情報開示(ディスクロージャー)という点は共通なので、 根拠が法律か取引所ルールかで判断すると迷いません。

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