文具メーカーが、法人向けの定期購買サービスを新たに始める。社内には店舗販売を 前提とした値引きの決裁基準しかなく、月額制の価格の決め方には前例がない。 サービス責任者の対応として、最も適切なものはどれか。
正解:イ
ア店舗販売で使っている値引きの決裁基準を、月額制の価格にもそのまま当てはめる。
誤り。既存の基準は「店舗で単品を売る」という別の前提の上に作られています。 前提が違うものを流用すると、手続は踏んでいても新サービスの価値に合わない 価格になります。既存の価値観を尊重することと、無条件の流用とは違います。
イサービスの狙いに照らして判断の考え方を定め、根拠と見直す条件を示して決める。
正解。行動例「既存の価値観に基づく判断が難しい状況においても、価値創造に 向けて必要であれば、臨機応変に意思決定を行っている」に当たります。何を根拠に 決めたかと、どうなったら見直すかを示せば、臨機応変な決定は独断と区別できます。
ウ社内規程に月額制の記述が加わるのを待ち、改定後にあらためて開始時期を決め直す。
誤り。規程の整備は必要ですが、それまで決定を止めると始める時機を逃します。 柔軟な意思決定とは、判断のよりどころが整うのを待つことではなく、整っていない 状況でも目的に立ち返って決めることを指します。
エ同業他社の月額制の価格表を集め、最も多く採用されている金額に合わせて決める。
誤り。調べる姿勢は熱心ですが、他社に多い金額は自社が生む価値の根拠にはなり ません。前例のない状況で他社の数を決め手にするのは、よりどころを社内の前例から 社外の前例に移しただけで、自ら判断したことになりません。
決められないのではなく、決め方が無いだけ
新しい取組では、社内の基準がそもそも想定していない場面に出会います。 このときに起きがちなのが、「基準が無いから決められない」と手を止めるか、 無理やり既存の基準に当てはめるかの二択です。柔軟な意思決定は、そのどちらでもなく、 目的に立ち返って判断の考え方をその場で組み立てることを指します。
独断との違いは、示せるかどうか
臨機応変な決定が「勝手に決めた」と受け取られないために、次の3つを添えます。
- 何のための決定か(サービスの狙い・生みたい価値)
- 何を根拠に決めたか(前例の代わりに置いた判断の物差し)
- どうなったら見直すか(前提が崩れたときの条件)
見直す条件を先に決めておけば、確信がなくても動き出せます。 決定を「一度きりの正解」ではなく「更新できるもの」として扱う点が要点です。
迷ったときの選択肢の見分け
| 対応 | 何が問題か |
|---|---|
| 目的に照らして決め、根拠と見直し条件を示す | 前例が無くても価値創造に向けて進める |
| 既存基準をそのまま当てはめる | 前提の違いを無視している |
| 規程の改定を待つ | 判断そのものを先送りしている |
| 他社に多いやり方に合わせる | よりどころを外の前例に置き換えただけ |
試験では、「前例がない」「基準では判断できない」と書かれた場面が合図です。 待つ・借りる・当てはめる、のいずれでもない選択肢を探してください。