問題 20★★☆

情報セキュリティマネジメントにおけるリスクマネジメントの考え方として、 最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア対策の費用と効果を比べて、受け入れられる水準までリスクを抑え、残るリスクも把握する。

    正解。リスクは費用をかけてもゼロにはできません。 どこまで下げれば受け入れられるかを組織として決め、残ったリスクも管理下に置きます。

  2. イ想定されるすべてのリスクを取り除けるまで、対策を追加し続けることを目標にする。

    誤り。「安全第一ならゼロを目指すべき」という誤解です。 リスクを完全になくすことはできず、対策費が守る価値を上回れば本末転倒です。 目標は「なくす」ではなく「受け入れられる水準に抑える」です。

  3. ウ事故が起きた後に、損害をできるだけ小さく抑えて早く復旧することに活動を絞る。

    誤り。これはインシデント発生後の対応の説明で、リスクマネジメントの一部にすぎません。 リスクマネジメントは、事故が起きる前にリスクを見積もって手を打つことが中心です。 「起きる前」か「起きた後」かで区別します。

  4. エ一度リスクを評価して対策を決めたら、以後は見直さずに同じ対策を続ける。

    誤り。新しい攻撃手口や業務の変化で、リスクの大きさは変わっていきます。 決めた対策を定期的に点検し、状況に合わせて見直し続けることが前提です。 一度きりの作業ではなく、継続する活動です。

理解を深めるために

ゼロにするのではなく、付き合える大きさにする

自動車事故のリスクをゼロにしたければ、車に乗らないしかありません。 現実には、シートベルトを締め、保険に入り、安全運転を心がけて、 受け入れられる大きさまでリスクを下げて車を使います。 情報セキュリティのリスクマネジメントも同じ考え方です。

なぜ「受け入れられる水準」なのか

  • リスクを完全になくす対策は存在しない。対策後にも残るリスク(残留リスク)がある
  • 対策には費用がかかる。守る情報の価値を超える費用は正当化できない
  • どこまで受け入れるかは、事業への影響を踏まえた経営の判断になる
  • 脅威や業務は変わるので、評価と対策は定期的に見直し続ける

リスクマネジメントは、リスクを洗い出して大きさを見積もり、 対策を選び、残ったリスクを把握し、見直す、という流れ全体を指します。

よくある誤解との違い

考え方 どこがずれているか
受け入れられる水準に抑える 費用と効果の釣り合いを取り、残るリスクも管理する
リスクをゼロにする 不可能で、費用が際限なく膨らむ
事故後の復旧に絞る インシデント対応であって、事前の手当てが抜ける
一度決めたら見直さない 脅威や業務の変化に追いつけない

試験では「すべて」「完全に」「ゼロ」といった言葉が入った選択肢は疑ってかかると、 リスクマネジメントの問題を取りこぼしにくくなります。

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