入退室管理に顔認証を導入した事業所で、登録者ではない人が入室できてしまう事例が 起きた。そこで、本人と判定する照合の基準を今より厳しく設定し直した。この変更で 起こる変化として、最も適切なものはどれか。
正解:ア
ア他人受入率は低くなるが、本人拒否率は高くなる。
正解。基準を厳しくすると他人を通しにくくなる一方、本人でも状況次第で はねられます。2つの率は一方を下げると他方が上がる関係にあります。
イ本人拒否率は低くなるが、他人受入率は高くなる。
誤り。これは基準を緩めたときに起こる変化です。本人はほぼ通るようになりますが、 似た特徴の他人まで通してしまいます。今回の狙いとは逆向きの調整です。
ウ本人拒否率と他人受入率が、どちらも高くなる。
誤り。2つの率は同じ方向には動きません。基準を動かせば、通りやすさが変わる ことで一方が下がり他方が上がります。両方が同時に悪化することはありません。
エ本人拒否率と他人受入率が、どちらも低くなる。
誤り。両方を同時に下げるには、装置や照合方式の精度そのものを上げる必要が あります。基準の設定を動かすだけでは、両立はできません。
生体認証は「一致」ではなく「どれだけ似ているか」で判定する
パスワードは文字が完全に一致するかどうかで判定できます。 しかし顔や指紋は、その日の体調・角度・照明で読み取り結果が毎回わずかに違います。 そのため生体認証では、登録データとの近さが一定の水準を超えたら本人とみなすという 判定の基準(しきい値)を決めて運用します。
この基準をどこに置くかで、2種類の誤りの出方が変わります。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 本人拒否率(FRR) | 本人なのに拒否してしまう割合 |
| 他人受入率(FAR) | 他人なのに受け入れてしまう割合 |
一方を下げれば、もう一方が上がる
基準を厳しくすると、少しの違いでも別人と判定されます。 他人が通ってしまう危険(FAR)は減りますが、本人が通れない不便(FRR)が増えます。 基準を緩めればその逆です。この2つは同時に下げられないトレードオフの関係にあります。
両方を下げたいなら、基準の調整ではなく、センサの読み取り精度や照合方式そのものを 改善するしかありません。
どちらを重く見るかは用途で決まる
- 機密区画の入退室:他人を入れることの被害が大きい → FARを優先して下げる
- 多数の来訪者が使う受付:止まると業務が滞る → FRRを下げて通しやすくする
顔・静脈・虹彩といった身体的特徴でも、筆跡や歩き方といった行動的特徴でも、 この関係は変わりません。試験では「基準を厳しくするとどうなるか」という 向きの問題として出ます。厳しくする=本人も通りにくくなると押さえれば迷いません。