情報セキュリティの脅威脅威と脆弱性★★★

A社では、顧客情報を扱うシステムの操作履歴が記録されておらず、誰がいつデータを 持ち出したのかを後から確かめられない状態が続いていた。不正のトライアングルの 3要素のうち、この状態が当てはまるものはどれか。

正解:

  1. 動機。処遇への不満や金銭的な困窮など、不正に踏み出させる事情があること。

    誤り。動機は不正に向かう気持ちの側で、本人が置かれた事情から生まれます。 問題文が述べているのは本人の事情ではなく、システムの記録が残らないという 環境の話です。人の側の事情か、環境の側の条件かで分けます。

  2. 正当化。自分の行為に都合のよい理由をつけ、後ろめたさが薄れていること。

    誤り。正当化は「借りているだけだ」「会社も悪い」と自分に言い訳し、 良心の歯止めが外れる心理です。これも本人の内側の話であり、 履歴が残らないという外側の状態を指す要素ではありません。

  3. 能力。不正を実行するのに必要な知識や技術を、本人が身につけていること。

    誤り。能力は不正のトライアングルの3要素には含まれません。3要素を拡張した 考え方で挙げられることはありますが、問われているのは3要素のどれかです。 まず動機・機会・正当化の3つを押さえます。

  4. 機会。不正を実行できてしまい、しかも見つかりにくい環境があること。

    正解。操作履歴が残らなければ、持ち出しても発覚しません。 物理的にできてしまうことと、やっても気づかれないことの両方が機会にあたります。 3要素のうち、組織が仕組みで最も減らしやすいのがここです。

3つがそろったときに不正は起きる

不正のトライアングルは、不正行為は「動機」「機会」「正当化」の3つがそろった ときに起こる、という考え方です。逆に言えば、どれか1つを取り除けば起きにくくなります。

要素 中身
動機 不正に向かわせる事情 借金、過大なノルマ、処遇への不満
機会 実行できて、しかも発覚しにくい環境 記録が残らない、一人で完結する
正当化 罪悪感を打ち消す言い訳 「あとで返す」「会社が悪い」

組織が手を打てるのは主に「機会」

動機は個人の事情に、正当化は本人の心の中に根ざしているため、 組織が直接なくすことは簡単ではありません。これに対して機会は、 仕組みを変えることで確実に減らせます。

  • 操作履歴(ログ)を記録し、後から誰が何をしたか追えるようにする
  • 一人で最後まで完結させず、別の担当者の確認を挟む
  • 必要な人にだけ、必要な範囲の権限を与える

「見られている」と分かっている状態そのものが抑止になる、というのが要点です。

内部統制の職務分掌との関係

一連の業務を複数人に分ける職務分掌は、機会を減らすための具体策にあたります。 不正のトライアングルが「なぜ不正が起きるのか」を説明する理論であるのに対し、 職務分掌は「どう防ぐか」の手段です。試験では、場面が 不正が起きる条件の説明なのか、防ぐ仕組みの名前なのかを読み分けます。

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