情報セキュリティの脅威攻撃手法★★★

経理担当者のもとに、取引先の役員を名乗る人物から至急の送金を求める電話があった。 声は本人そっくりだったが、実際にはAIで作られた合成音声だった。このように、AIを 使って本物と見分けにくい音声や映像を作り、なりすましに用いる手口はどれか。

正解:

  1. ディープフェイク

    正解。AIで本物そっくりの音声や映像を作り出すことをディープフェイクといいます。 声や顔という、これまで本人確認の手掛かりにされてきたものが偽装されるため、 「本人と話した」という感触が根拠にならなくなります。

  2. フィッシング

    誤り。フィッシングは金融機関などを装ったメールから偽サイトへ誘導し、IDや パスワードなどを入力させて盗む手口です。だます点は同じですが、偽るのは 送信元やWebサイトの見た目であり、音声や映像を作り出すものではありません。

  3. 標的型攻撃

    誤り。標的型攻撃は特定の組織を狙い、業務のやり取りを装ったメールなどで マルウェアに感染させる手口です。狙いを絞る点が特徴で、なりすましの材料が AIで生成した音声・映像かどうかを表す言葉ではありません。

  4. ビジネスメール詐欺(BEC)

    誤り。ビジネスメール詐欺は、経営者や取引先になりすましたメールで偽の口座へ 送金させる手口です。送金をだまし取る点は共通しますが、今回の連絡はメールでは なく通話であり、偽装されたのは文面ではなく声そのものです。

「声も顔も、そのままでは証拠にならない」

これまで、電話口の声やビデオ会議の顔は、本人であることのかなり強い裏付けでした。 ディープフェイクは、その前提を崩します。AIが本物と区別しにくい音声や映像を 作り出すため、上司や取引先になりすました指示が、見た目にも聞こえ方にも 違和感なく届くようになります。冒頭の場面で危ういのは、担当者が不注意だから ではなく、判断のよりどころにしていた手掛かりが偽装されている点です。

AIの悪用が脅威として扱われる理由

  • 公開されている講演動画やSNSの投稿など、わずかな材料から本人らしい声や姿を 作れるようになりました
  • 不自然な日本語という見分け方が通じにくくなり、標的型攻撃やフィッシングの 文面が巧妙化しています
  • 既存のマルウェアを少しずつ変えた亜種を大量に作ることにも使われ、 既知の特徴と照合する方式では捕まえにくくなります

混同しやすいものとの違い

用語 何を偽るか
ディープフェイク AIが生成した音声・映像で人物そのものを偽る
フィッシング 送信元やWebサイトの見た目を偽る
標的型攻撃 業務のやり取りを装って特定の組織を狙う
ビジネスメール詐欺(BEC) 経営者や取引先になりすましたメールで送金させる

見分け方は単純で、「AIが何を作ったのか」に着目します。音声や映像そのものが 作られていればディープフェイクです。急ぎの送金や振込先の変更という要求は、 連絡手段が何であれ、相手を疑うべき合図として覚えておくとよいでしょう。

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