「販売管理システムの画面が表示されず、受注登録ができない」という連絡が 利用者からサービスデスクに入った。インシデント管理の考え方に沿った、 この時点での対応として最も適切なものはどれか。
正解:ア
ア内容を記録したうえで、代替手段の案内など、利用者が業務を再開できる状態に戻す。
正解。インシデント管理の目的は、合意した時間内にサービスを通常の状態へ 戻すことです。原因が分からなくても、回避策や代替手段で業務を再開できれば、 その時点で目的は果たせています。
イ障害を起こした根本原因を特定し、その修正が終わるまで利用者への回答を保留する。
誤り。根本原因を突き止めて再発を防ぐのは問題管理の役割です。どちらも障害を 扱うため混同しやすいのですが、優先するのが復旧か、原因の除去かが違います。 原因調査を待っている間、利用者の業務は止まったままになります。
ウ記録は後からまとめて行えばよいので、まず口頭で解決してから要否を判断する。
誤り。記録は後回しにしてよいものではありません。記録がないと、同じ障害が 繰り返し起きていることに気付けず、担当を替わるときの引継ぎもできません。 受付の時点で記録するのがインシデント管理の基本です。
エ窓口では判断できない内容なので、開発を委託したベンダの連絡先を利用者に伝える。
誤り。手に負えない内容を専門の担当へ引き継ぐことをエスカレーションと いいますが、引き継ぐ相手はサービスデスクが自ら連絡する先であって、 利用者に連絡先を渡して任せることではありません。窓口としての責任は残ります。
まず止血、原因究明は後
救急外来に運ばれた人に対して、医師はまず出血を止めて容体を安定させます。 なぜ倒れたのかを突き止めるのは、命が安定してからです。インシデント管理も同じで、 「なぜ壊れたか」より「どうすれば業務を続けられるか」を先に考えます。
インシデント管理の流れ
- 受付と記録(誰が、いつ、何が起きて、どの業務が止まっているか)
- 影響の大きさと緊急度から優先順位を決める
- 既知の回避策があれば適用し、サービスを使える状態へ戻す
- 窓口で解決できなければ、担当部門や上位者へ引き継ぐ(エスカレーション)
- 繰り返し起きる障害は、後から問題管理へ渡して原因を取り除く
回避策での復旧は「その場しのぎ」に見えますが、インシデント管理としては正しい 決着です。根本原因の除去は別のプロセスが引き受ける、という分担になっています。
混同しやすいものとの違い
| 用語 | 何を優先するか |
|---|---|
| インシデント管理 | サービスを早く元に戻す(回避策でもよい) |
| 問題管理 | 根本原因を取り除き、再発を防ぐ |
| エスカレーション | 窓口で解決できないものを担当部門や上位者へ引き継ぐ |
試験では「原因を突き止めてから復旧する」という選択肢が出たら、インシデント管理 としては誤りだと判断できます。復旧が先、原因究明は後、という順番が要点です。