ビジネス変革の方法論イノベーション戦略★★☆

A社は、研究部門で生み出した新素材の試作品を完成させた。しかし、量産設備への 投資と人員の確保のめどが立たず、事業として立ち上げられずにいる。 技術経営(MOT)で、この段階に立ちはだかる壁を表す言葉はどれか。

正解:

  1. 魔の川

    誤り。これは基礎研究の成果が製品開発のテーマとして取り上げられず、 研究のままで終わってしまう、研究段階と開発段階の間の壁です。 A社は既に試作品を作り上げているので、この川は渡り終えています。

  2. 死の谷

    正解。試作品はできているのに、量産や販売に必要な資金・人材・体制が そろわず事業化に届かない。開発段階と事業化段階の間にあるこの溝を、 死の谷(デスバレー)と呼びます。

  3. ダーウィンの海

    誤り。これは事業化した製品が、競合他社や既存製品との競争にさらされ、 産業として定着できずに終わる段階の壁です。市場に出た後の話であり、 まだ製品を世に出せていないA社とは段階が一つ違います。

  4. キャズム

    誤り。これはイノベータ理論で、新しもの好きの初期採用者と、 慎重な前期多数派の間にある深い溝を指します。市場に出た製品が 普及していく過程の話で、事業化前の資金や体制の問題ではありません。

技術が世に出るまでに、越える壁は三つ

技術経営(MOT)では、技術が事業になるまでを四つの段階でとらえます。 段階の間にはそれぞれ関門があり、名前が付いています。

研究 →〔魔の川〕→ 開発 →〔死の谷〕→ 事業化 →〔ダーウィンの海〕→ 産業化

  • 魔の川 — よい研究成果があっても、製品開発のテーマとして選ばれなければ先に進めない
  • 死の谷 — 試作品はできても、量産や販売の投資が付かなければ事業にならない
  • ダーウィンの海 — 発売できても、競争を生き抜けなければ産業として残らない

「谷」でつまずく理由

死の谷でつまずくのは、技術がうまくいっていないからとは限りません。 むしろ、設備投資や販売体制といった、研究部門の手には負えない経営判断が 必要になる段階だからです。ここを越えるために外部資金を入れる仕組みが ベンチャーキャピタルであり、社外の技術や資金と組む考え方がオープンイノベーションです。

混同しやすいものとの違い

言葉 どこの壁か
魔の川 研究 → 開発
死の谷 開発 → 事業化
ダーウィンの海 事業化 → 産業化
キャズム 普及の途中(初期採用者 → 前期多数派)

試験では、問題文が「どの段階まで進んでいるか」を必ず書いています。 試作品ができていれば魔の川は越えている、売り出していればダーウィンの海、と順に絞ります。

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