A社は、AIを使った問合せ対応の仕組みを全社に導入する前に、 PoC(概念実証)を行うことにした。PoCの目的として、最も適切なものはどれか。
正解:イ
ア将来のあるべき姿を先に描き、そこから逆算して今やるべき課題を洗い出す。
誤り。これはバックキャスティングの説明です。目標から逆算して道筋を引く 発想法で、何を目指すかを決める段階のものです。PoCは、 決めた案が本当に成り立つのかを実際に動かして確かめる段階に置かれます。
イ対象を限定して試しに動かし、実現できるか、期待した効果が出るかを確かめる。
正解。本格的に作り込む前に小さく試し、技術的に成立するか、 投資に見合う効果が出るかを見極めます。見込みが立たなければ、 本開発に進まないという判断ができることに価値があります。
ウ関係者が短期間集まって議論し、新しい事業のアイディアを数多く生み出す。
誤り。これはアイディアソンの説明です。案の幅を広げる場であり、 出てきた案が実現できるかどうかはまだ分かりません。 アイディアソンで生まれた案を、PoCで確かめるという順序になります。
エ完成したシステムを利用部門が実際に操作し、要件どおりかどうかを判定する。
誤り。これは受入テストの説明です。動かして確かめる点は似ていますが、 受入テストは作り終えたものが注文どおりかを検査する工程で、 そもそも作るかどうかを決めるためのものではありません。
全部作ってから失敗すると、取り返しがつかない
PoC(Proof of Concept、概念実証)は、思いついた案を全社に展開する前に、 小さく作って動かしてみる取組みです。料理でいえば、宴会用に大量に仕込む前に、 一人分だけ作って味を見るようなものです。
AIのように、やってみないと精度が読めない技術ほどPoCが効きます。 「思ったほど当たらない」と分かった時点で止められることこそが成果であり、 PoCは中止という結論を出しても失敗ではありません。
PoCで確かめること
- 実現性 — その技術で本当に動くのか、既存システムとつながるのか
- 効果 — 業務時間やコストが、期待した水準まで下がるのか
- 投資対効果 — 本格導入にかける費用に、効果が見合うのか
範囲を絞る(問合せの種類、利用者、期間を限定する)のが基本です。 範囲を広げすぎると、確かめる前に本番導入と同じ手間がかかってしまいます。
混同しやすいものとの違い
| 活動 | いつ、何のために行うか |
|---|---|
| バックキャスティング | 目標を決める段階。ありたい姿から逆算して課題を出す |
| アイディアソン | 案を出す段階。短期間で数多くの案を生み出す |
| PoC(概念実証) | 作る前。実現性と効果を確かめ、進むかを判断する |
| 受入テスト | 作った後。要件どおりに作られたかを検査する |
なお、アイディアソンと対で出るハッカソンは、技術者が短期間で実際に動くものを 作り上げるイベントです。作って試す点はPoCと似ていますが、 ハッカソンは発想を形にする場、PoCは導入を判断するための検証、という違いがあります。