問題 3★★★

社員からのアクセス権の申請を、AIエージェントが社内規程と照らし合わせて審査し、 権限の付与まで行う運用を検討している。規程が想定していない申請が届いた場合の 扱いとして、最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア過去の似た申請の審査結果から推測して付与か却下かを決め、結果を後で報告させる。

    誤り。規程で判断できない申請こそ、人の判断が要る場面です。似た前例からの推測は もっともらしく見えても誤ることがあり、権限を付与した後の報告では、 誤った付与による情報の持出しなどを防げません。

  2. イ想定外の申請が生じないように、規程の解釈と改定もAIエージェントに任せる。

    誤り。審査する側に規程を変える権限まで与えると、AIが自分の判断に合わせて 基準を動かせてしまいます。規程の改定は組織として人が決めることで、 AIエージェントに与える権限は業務に必要な範囲に絞ります。

  3. ウ指示文に「想定外の申請は特に慎重に判断すること」と書き加え、処理は任せる。

    誤り。指示文の工夫(プロンプトエンジニアリング)で出力の傾向は変えられても、 AIが正しく判断できる保証にはなりません。慎重に判断させても最終判断がAIのままで、 人が関与する仕組みにはなっていません。

  4. エその申請の処理を止めて担当者に判断を引き継ぎ、担当者が付与の可否を決める。

    正解。規程で判断できない例外は人が引き取る、という例外処理の置き方です。 定型の申請はAIエージェントに任せ、判断の拠り所がない申請だけを人が決めることで、 自律性と人間の関与を両立させます。

理解を深めるために

マニュアルに無い件は、上司に回す

新人に窓口業務を任せるとき、マニュアルどおりに処理できる件は任せ、マニュアルに無い件は 「自分で判断せず、上司に回して」と伝えます。新人が無能だからではなく、 判断の拠り所が無い件の責任を、新人に負わせないためです。AIエージェントに業務を任せるときも 同じ考え方で、判断の拠り所が無い例外は人が引き取るように設計します。

なぜ例外を人に引き継ぐのか

AIエージェントは、目標に向けて自分で手順を判断し、ツールを使って処理を進められます。 便利な反面、任せる範囲と人が関与する場面を設計しておく必要があります。

  • 定型の処理: 規程に照らして判断できるので、AIエージェントに任せる
  • 例外の処理: 規程に拠り所が無く、推測で決めると誤りが残るので、人が判断する
  • 重要な処理: 取り消しにくい・影響が大きい処理は、人が最終承認する

アクセス権の付与は、誤れば情報の持出しにつながる処理です。想定外の申請で AIに推測させると、誤った付与が起きても気づくのは事後になります。 処理を止めて担当者に渡すことで、AIの自律性を生かしつつ、責任ある判断を人に残せます。

混同しやすいものとの違い

扱い方 人の関与 問題点
処理を止めて担当者に引き継ぐ 例外の判断を人が担う 引き継いだ件は処理が遅れる(定型は任せたまま)
前例から推測して処理し事後報告 事後に知るだけ 誤った付与を防げない
規程の解釈・改定もAIに任せる 無い 基準そのものをAIが動かせる
指示文で慎重さを求める 無い 指示は判断の正しさを保証しない

試験では、「AIに任せる範囲」と「人が判断する場面」がどこで切り替わるかを見ます。 例外処理と最終承認は、人が関与する代表的な場面です。

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