正解:ア
各選択肢の解説
ア規程の文書を検索して回答の根拠にさせ、改定時はその文書を最新版に差し替える。
正解。RAGによる知識連携です。回答のたびに規程の文書を検索して材料にするので、 文書を差し替えれば次の質問から新しい内容が根拠になります。 根拠の箇所を示させれば、社員が原文で確かめることもできます。
イ現行の規程でモデルを追加学習させ、改定内容は年1回の再学習の際にまとめて反映する。
誤り。追加学習(ファインチューニング)はモデル自体に内容を覚え込ませる方法です。 改定のたびに学習し直す手間がかかり、この運用では再学習までの間、 古い規程に基づいて答え続けます。「すぐに反映」という条件に合いません。
ウ回答のばらつきが出ないよう、ランダム性を最も低く設定して誤った回答を防ぐ。
誤り。ランダム性の制御は、出力の揺れ幅を調整するものです。低くすれば 同じ質問に似た答えを返しやすくなりますが、AIが知らない改定後の内容を 正しく答えられるようにはなりません。古い内容を安定して答えるだけです。
エ指示文に「必ず最新の規程に基づいて回答すること」という一文を書き加えておく。
誤り。これはプロンプトエンジニアリングで、指示の書き方で出力を整える方法です。 最新の規程がAIに渡っていなければ、指示しても参照のしようがありません。 それらしい内容をもっともらしく答える危険が残ります。
理解を深めるために
覚えさせるより、手元に最新版を置いて読ませる
規程に詳しい人を育てるとき、条文を丸暗記させる方法と、最新版の規程集を机に置いて 質問のたびに引かせる方法があります。改定が多い規程なら、後者のほうが間違いが少なく済みます。 規程集を差し替えるだけで、その日から新しい内容で答えられるからです。 RAGによる知識連携は、この「規程集を引かせる」やり方にあたります。
なぜRAGが合うのか
RAGは、質問に関係する文書を検索で取り出し、それを材料として生成AIに回答を作らせる仕組みです。
- 知識はモデルの外の文書に置くので、文書を差し替えれば反映が済む
- モデルを学習し直す必要がない
- 回答の根拠にした箇所を示させれば、利用者が原文を確かめられる
ただし、RAGを使っても、事実と異なる内容をもっともらしく出力する現象(ハルシネーション)が なくなるわけではありません。検索で関係の薄い箇所を拾ったり、材料を読み違えたりすることがあります。 抑えるための手段であって、なくす手段ではないので、重要な判断は社員が規程の原文で確かめる 運用とあわせて使います。
混同しやすいものとの違い
| 方法 | 何を変えるか | 規程の改定への追従 |
|---|---|---|
| RAGによる知識連携 | 回答の材料(外部の文書) | 文書の差し替えで反映できる |
| 追加学習(ファインチューニング) | モデル自体 | 学習し直すまで古いまま |
| ランダム性の制御 | 出力の揺れ幅 | 知識は変わらない |
| プロンプトエンジニアリング | 指示の書き方 | 渡していない情報は使えない |
試験では、「AIが知らない情報を使わせたいのか」「出力の形や揺れを整えたいのか」を先に見分けます。 知らない情報、とくに頻繁に変わる情報を使わせたいなら、外部の文書をつなぐ方法が候補になります。