正解:エ
各選択肢の解説
ア市販製品のプログラムは著作物なので、同じ手順を実現するには製品の権利者の許諾が必要になる。
誤り。プログラムが著作物であることは正しいのですが、守られるのは書かれたコードという表現です。 処理の手順そのものは、著作権法が「解法」として保護の外に置いています。 著作物であることと、その考え方まで独占できることを混同しています。
イ社内の業務だけで使うなら私的使用のための複製にあたり、製品のコードを複製してもよい。
誤り。私的使用のための複製は、個人的または家庭内などの限られた範囲での使用が前提です。 会社の業務で使うための複製はこれに当たらず、社内だけの利用でも許諾が要ります。 「社外に出さない」と「私的」は別の話です。
ウ製品のコードを入手しても、変数名やコメントを書き換えれば別の著作物として自由に使える。
誤り。表面の名前を変えても、元のコードの表現上の特徴が残っていれば、複製や翻案にあたります。 翻案は権利者の許諾が要る行為です。手順だけを借りて自分で書くことと、 他人のコードを書き換えることは、見た目が似ていても扱いが違います。
エ手順そのものは解法として保護の対象外なので、自分で書いたコードなら著作権侵害にならない。
正解。著作権法は、プログラムの保護がプログラム言語・規約・解法には及ばないと定めています。 守られるのはコードの表現なので、手順を自分の表現で書き直せば著作権の問題は生じません。
理解を深めるために
守られるのは「書き方」で、「やり方」ではない
料理のレシピ本を思い浮かべてください。本の文章や写真をそのまま写して配れば問題になりますが、 「肉を焼いてから煮込む」という作り方そのものは、誰が真似しても構いません。 プログラムも同じで、著作権が守るのはソースコードという表現であり、 その裏にある処理の手順(アルゴリズム)ではありません。
著作権法の定め
著作権法は、プログラムの著作物について、その保護が次のものには及ばないと定めています(第10条第3項)。
- プログラム言語(プログラムを書くための記号とその体系)
- 規約(特定のプログラムでの言語の使い方の約束)
- 解法(コンピュータへの指令の組合せの方法、つまりアルゴリズム)
このため、製品のコードを見ずに、同じ手順を自分の言葉(コード)で書けば、著作権の侵害にはなりません。 一方で、製品のコードを手元に置いて名前だけ書き換える作り方は、複製や翻案と判断されるおそれがあります。 内製を指示する担当者としては、参照してよいのは仕様や公開された手順の説明までと線を引き、 他社のコードを持ち込ませないことが実務上の要点です。
なお、手順そのものが特許として登録されている場合は、特許法という別の法律の問題になります。 この問題は著作権法の観点に絞っています。
混同しやすいものとの違い
| 考え方 | 実際の扱い |
|---|---|
| 手順を自分のコードで実現する | 解法は保護の対象外。侵害にならない |
| 手順にも権利者の許諾が要る | 守られるのは表現で、解法には及ばない |
| 社内利用なら私的使用のための複製 | 業務での複製は私的使用に当たらない |
| 変数名を変えれば別の著作物 | 表現の特徴が残れば複製・翻案 |
場面の問題では、「真似したのが表現か、考え方か」を先に確かめると判断がぶれません。