問題 7★★★

ファイルサーバを、稼働系と待機系の2台で共有ディスクを使うクラスタ構成に更新した。 部門から「1台が壊れても止まらないので、バックアップは不要になった」という意見が出た。 情報セキュリティ担当者の指摘として、最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア待機系も同じデータを使い続けるので、待機系をバックアップの代わりにしてよい。

    誤り。待機系が使うのは稼働系と同じ共有ディスクのデータで、過去の状態の控えではありません。 誤削除やランサムウェアによる暗号化は、そのまま待機系にも引き継がれます。

  2. イ2台を仮想化して1台の物理サーバに集約すれば、故障にも破損にも備えられる。

    誤り。仮想化による集約は、台数や電力を減らすための手段です。1台の物理サーバに まとめると、その1台の故障で両方が止まり、データ破損への備えにもなりません。

  3. ウ稼働系と待機系を別の建物に置けば、データの破損にも備えられる。

    誤り。設置場所を分けると、建物の火災や停電で両方が止まる事態には強くなります。 ただし、データが論理的に壊れた場合は、離れた待機系も同じデータを使うので救えません。

  4. エ誤削除や暗号化も待機系に引き継がれるので、世代を分けたバックアップは別に要る。

    正解。クラスタは機器の故障に備えて処理を引き継ぐ仕組みで、データの中身までは守りません。 壊れる前の状態に戻すには、世代を分けたバックアップが別に必要です。

理解を深めるために

クラスタは「機械」を守り、バックアップは「中身」を守る

クラスタは、複数のサーバをまとめて1台のように動かす構成です。稼働系が壊れたら 待機系が処理を引き継ぐので、機器の故障では業務が止まりにくくなります。 ただし、運転手が交代しても積み荷は同じなのと同じで、引き継がれるのはデータも含めた今の状態です。

なぜバックアップが別に要るのか

  • 誤削除: 利用者が消したファイルは、待機系から見ても消えている
  • ランサムウェア: 暗号化されたファイルは、待機系に切り替えても暗号化されたまま
  • バックアップ: 過去の時点の控えを、世代を分けて別の場所に持つ。 壊れる前の状態に戻せるのはこちらだけ

クラスタで高まるのは可用性で、データの完全性を守る手段ではありません。 両方が必要で、片方がもう片方の代わりにはなりません。

混同しやすい判断との違い

構成・手段 備えられるもの
世代を分けたバックアップ 誤削除や暗号化の前の状態に戻す
クラスタ(同じ建物) 機器1台の故障
クラスタ(別の建物) 機器の故障と、建物単位の災害
仮想化による集約 台数・電力・保守の削減(故障への備えではない)

何に備えたいかを「機器が壊れる」「建物が使えない」「データが壊れる」に分けると、 手段を取り違えません。

前の問題へクラウドの一覧へ戻る