問題 19★★☆

社外の取引先に送るファイルを暗号化する仕組みを新たに導入する。 CRYPTREC暗号リストを参照して、ファイル本体の暗号化に使う共通鍵暗号を選ぶとき、 最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア3-key Triple DES

    誤り。Triple DESはDESを3回重ねた共通鍵のブロック暗号ですが、ブロック長が64ビットと短く、 CRYPTREC暗号リストでは運用監視暗号リストに置かれています。既存システムとの互換性を保つために 継続利用を容認するもので、新たに導入する仕組みで選ぶものではありません。

  2. イRSA暗号

    誤り。RSA暗号は公開鍵暗号方式で、暗号化と復号に別の鍵を使います。処理が重いため ファイル本体の暗号化には向かず、実際にはファイルを暗号化した共通鍵を相手に渡す部分で 使われます(ハイブリッド暗号)。共通鍵暗号ではありません。

  3. ウSHA-256

    誤り。SHA-256はハッシュ関数で、電子政府推奨暗号リストに載っていますが、暗号化の方式では ありません。ハッシュ値から元のファイルは戻せないので、相手が中身を読む必要がある送付には 使えません。改ざん検知のための道具です。

  4. エAES

    正解。AESはデータを128ビット単位で処理する共通鍵のブロック暗号で、電子政府推奨暗号リストに 掲載されています。鍵長は128・192・256ビットから選べ、新たに導入する仕組みの標準的な選択肢です。

理解を深めるために

「推奨」と「容認」は違う

暗号を選ぶときの拠り所の一つが、デジタル庁・総務省・経済産業省が公表する CRYPTREC暗号リストです。リストは3つに分かれていて、載っていれば何でもよいわけではありません。

  • 電子政府推奨暗号リスト: 安全性と実装性能が確認され、利用を推奨するもの
  • 推奨候補暗号リスト: 安全性と実装性能が確認され、今後推奨リストに載る可能性があるもの
  • 運用監視暗号リスト: 推奨すべき状態ではなくなり、互換性維持のためにだけ継続利用を容認するもの

新たに導入する仕組みなら、電子政府推奨暗号リストの中から、目的に合う種類の暗号を選びます。

AESとブロック暗号

AES(Advanced Encryption Standard)は、米国NISTが公募を経て2001年に標準化した共通鍵暗号です。

  • データを128ビットのブロックに区切り、同じ鍵で順に処理する(ブロック暗号)
  • 鍵長は128・192・256ビット
  • 前身のDESは鍵長が56ビットと短く、総当たりで解読できるようになった。DESを3回重ねたTriple DESは 延命策で、ブロック長も64ビットと短い

CRYPTREC暗号リスト(LS-0001-2022R2)では、AESは電子政府推奨暗号リストの128ビットブロック暗号に、 3-key Triple DESは運用監視暗号リストに置かれています。

混同しやすいものとの違い

名称 種類 新規導入での扱い
AES 共通鍵暗号(ブロック暗号) 推奨。ファイル本体の暗号化に使う
3-key Triple DES 共通鍵暗号(ブロック暗号) 運用監視。互換性維持のためだけ
RSA暗号 公開鍵暗号 共通鍵の受け渡しに使う
SHA-256 ハッシュ関数 改ざん検知用で、復号できない

選ぶときは、まず「暗号化か、鍵の受け渡しか、改ざん検知か」で種類を絞り、 次にリストのどこに載っているかで新規に使ってよいかを確かめます。

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