正解:ウ
各選択肢の解説
ア暗号アルゴリズムを、鍵長がより長いものに変更する。
誤り。鍵長を延ばすのは、鍵を総当たりで探す解読への強さを上げる対策です。 この場面の弱点は解読されることではなく、サーバに侵入した者が鍵そのものを 持ち出せることです。鍵が手に入れば、鍵長に関係なく復号できます。
イ暗号化の方式を、共通鍵暗号方式から公開鍵暗号方式に切り替える。
誤り。公開鍵暗号方式にしても、復号には秘密鍵が要ります。その秘密鍵を同じサーバに 平文で置けば、状況は変わりません。大量のデータの暗号化には処理の速い共通鍵暗号方式が 向いており、方式を替えても鍵の置き方の問題は解決しません。
ウ鍵は暗号化したデータとは別の鍵管理の仕組みで保管し、使える者を限る。
正解。データと鍵を一緒に置くと、一度の侵入で両方が盗まれ、暗号化した意味がなくなります。 鍵は専用の仕組み(鍵管理サービスやHSMなど)で別に保管し、取り出せる者を必要最小限に絞ります。
エ鍵を置いたファイルの名前と場所を、推測されにくいものに変える。
誤り。置き場所を分かりにくくするのは、隠すことに頼った対策です。侵入した者は ファイルを検索したり、アプリケーションの設定から鍵の在りかをたどったりできます。 鍵とデータが同じサーバにある状態は変わりません。
理解を深めるために
金庫の鍵を金庫の扉に貼っていないか
どれほど頑丈な金庫でも、鍵を扉にテープで貼っておけば、扉を開けられる人は誰でも 中身を取り出せます。暗号化も同じで、守りの強さは暗号の方式より鍵の扱いで決まる ことが少なくありません。データベースを暗号化していても、復号に使う鍵が同じサーバに 平文で置かれていれば、サーバに侵入した攻撃者はデータと鍵を一度に持ち出せます。
鍵管理で押さえること
暗号を使う組織は、鍵を生成してから廃棄するまでを管理します。
- 保管: 鍵は暗号化したデータと分けて置く。専用の鍵管理サービスや、鍵を外に取り出せない 専用装置(HSM)を使う方法がある
- 利用者の制限: 鍵を取り出せる者・システムを業務に必要な範囲に絞り、利用を記録する
- 更新と廃棄: 鍵は期間を決めて更新し、使わなくなった鍵は確実に廃棄する
- 危殆化への備え: 鍵が漏えいした疑いがあれば、その鍵は安全とみなせない(危殆化)。 新しい鍵に切り替え、データを暗号化し直す手順を決めておく
今回の指摘は、このうち「保管」が崩れている状態です。方式や鍵長を見直しても、 鍵が盗める場所にある限り効果はありません。
混同しやすいものとの違い
| 対策 | 何を強くするか | この場面への効果 |
|---|---|---|
| 鍵を別の仕組みで保管し、使える者を限る | 鍵が盗まれにくくなる | データと鍵を一度に盗まれなくなる |
| 鍵長を延ばす | 総当たりによる解読への強さ | 鍵を持ち出されれば無意味 |
| 公開鍵暗号方式への切替え | 鍵配送の容易さ | 秘密鍵を同じ場所に置けば同じ |
| 置き場所を分かりにくくする | 見つけにくさだけ | 検索や設定の追跡で見つかる |
対策を選ぶときは、弱点が「暗号が破られること」なのか「鍵が奪われること」なのかを先に見分けます。 後者なら、直すべきは方式ではなく鍵管理です。