正解:エ
各選択肢の解説
ア通信経路上にIPSを置き、攻撃と判定した通信を遮断する。
誤り。IPSは通信経路の途中に入り、攻撃と判定した通信をその場で遮断します。 見つけるだけでなく止められる点で優れていますが、正常な通信を攻撃と誤検知すれば それも止めてしまい、IPS自体が故障すれば経路が切れます。この条件には合いません。
イ通信経路上にファイアウォールを足し、不要な通信を拒否する。
誤り。ファイアウォールは、決めた規則に従って通信を通すか止めるかを判断します。 規則で絞ることはできても、許可した通信の中の不審な振る舞いを見つける仕組みではなく、 経路上に置くので故障すれば通信が止まる点もIPSと同じです。
ウ設備との通信をVPNにして暗号化し、盗聴を防ぐ。
誤り。VPNは通信の経路を暗号化して、盗み見や改ざんから守る技術です。 守りを固める点では似ていますが、不審な通信を見つける働きはなく、 暗号化すると中身が見えなくなるので、かえって監視しにくくなります。
エ通信の複製を受け取るIDSを置き、検知したら担当者に知らせる。
正解。IDSは通信の複製を見て、不審なものを見つけたら知らせるだけで、通信は止めません。 誤検知しても、IDSが故障しても、設備の通信そのものには影響しません。
理解を深めるために
道の脇の見張りか、道をふさぐ関所か
IDSは道の脇に立って通行人を見張り、怪しい人がいたら知らせる見張り番です。 IPSは道の真ん中に立つ関所で、怪しい人をその場で通さないようにします。 関所は止める力がある分、人違いをすれば正しい人も止めますし、関所が閉まれば道そのものが通れません。
なぜこの条件ではIDSなのか
この問題の決め手は、「止める力」より「止めてしまわないこと」が優先される条件です。
- IDS(侵入検知システム): スイッチのミラーポートなどから通信の複製を受け取って調べる。 見つけたら担当者に知らせるだけで、通信には手を出さない
- IPS(侵入防止システム): 通信経路の途中に入り、攻撃と判定した通信を遮断する。 誤検知すれば正常な通信も止まり、装置が故障すれば経路が切れる
一般の事務系ネットワークなら、攻撃を自動で止められるIPSのほうが有利な場面が多くあります。 しかし、通信が途切れること自体が大きな被害になる生産設備では、まずIDSで見張り、 知らせを受けた担当者が状況を見て判断する、という構成が条件に合います。
混同しやすいものとの違い
| 仕組み | 置き方 | 見つけたとき・規則に外れたとき |
|---|---|---|
| IDS | 経路の外で複製を見る | 知らせるだけ(通信は止めない) |
| IPS | 経路の途中に入る | その通信を遮断する |
| ファイアウォール | 経路の途中に入る | 規則に外れた通信を拒否する |
| VPN | 経路を暗号化する | 見つける働きはない |
試験では、検知の後に「止めるのか、知らせるのか」と、その違いが場面の条件に合うかで判断します。 止めること自体が被害になる条件が書かれていれば、IDSが候補になります。