正解:ウ
各選択肢の解説
ア各社員の鍵を一覧にまとめ、部門の共有フォルダに保存しておく。
誤り。復号はできるようになりますが、共有フォルダを見られる者なら誰でも 全員のファイルを復号できます。鍵とデータを同じ範囲の人が扱える状態になり、 暗号化で守っていた機密性が失われます。
イ部門の全員が同じ鍵を使うように設定を統一する。
誤り。誰かが退職しても復号はできますが、1人から鍵が漏れれば全員のファイルが読めます。 退職者も鍵を知ったまま去ることになり、鍵を替えれば全ファイルの暗号化をやり直す必要が生じます。
ウ鍵を組織の鍵管理の仕組みで保管し、承認を得た手順でのみ復旧できるようにする。
正解。鍵を組織として保管しておけば、本人がいなくても業務ファイルを復号できます。 取り出しを承認と手順で縛るので、鍵を広く配ることにもならず、機密性と可用性を両立できます。
エ退職手続に、本人が暗号化したファイルをすべて復号して引き渡す作業を加える。
誤り。円満な退職なら役立ちますが、急な病気や事故、連絡の取れない退職では実施できません。 本人の協力に頼る限り、鍵を失えばデータも失われるという弱点は残ります。
理解を深めるために
鍵をなくすと、データもなくなる
暗号化したファイルは、鍵がなければ持ち主でも開けません。鍵を知っているのが 1人だけなら、その人がいなくなった時点で、ファイルは事実上消えたのと同じです。 暗号化は機密性を守る手段ですが、鍵の扱いを誤ると可用性を失わせる原因にもなります。
鍵管理は「守る」と「失わない」の両方
鍵管理というと盗まれない工夫に目が向きがちですが、組織の業務データを暗号化するなら、 鍵を失わない工夫も同じだけ要ります。
- 保管: 業務に使う鍵は個人任せにせず、組織の鍵管理の仕組みに預ける
- 取り出しの統制: 鍵の復旧(取り出し)は、上長などの承認を得た手順でだけ行い、記録を残す
- 保管先の分離: 預けた鍵は暗号化したデータとは別の場所に置き、扱える者を限る
鍵を広く配れば失う心配は減りますが、今度は漏れやすくなります。 預ける先を1か所に絞り、取り出す手順を縛ることで、両方の要求を満たします。
混同しやすい策との違い
| 再発防止策 | 鍵を失わないか | 鍵が漏れにくいか |
|---|---|---|
| 組織で鍵を保管し、承認を得て復旧 | 失わない | 漏れにくい |
| 鍵の一覧を共有フォルダに置く | 失わない | 閲覧できる全員に漏れる |
| 全員で同じ鍵を使う | 失わない | 1人の漏えいで全員分が読まれる |
| 退職時に本人が復号して引き渡す | 本人が協力できないと失う | 変わらない |
選択肢を比べるときは、「鍵を失わない」と「鍵が漏れない」の両方を満たしているかを確かめます。 片方だけを満たす策は、もう片方の弱点を作ります。