問題 52★★★

全社のノートPCにストレージ暗号化(ディスク全体の暗号化)を導入した。担当役員が 「これで社員のPCがマルウェアに感染しても、PC内の情報は盗まれない」と述べた。 この発言に対する説明として最も適切なものはどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. ア正しい。ディスク上のデータは常に暗号化されているので、マルウェアには暗号文しか読めない。

    誤り。ディスク上で暗号化されているのは確かですが、利用者がログインして使っている間は、 読み出すたびにOSが自動で復号してプログラムに渡します。マルウェアもその仕組みで 平文を受け取るので、暗号文しか読めないということはありません。

  2. イ誤り。ログイン後は読み出す時点で自動的に復号されるので、そのPCで動くマルウェアにも平文が渡る。

    正解。ストレージ暗号化が守るのは、電源が切れた状態のPCやディスクを持ち去られた場面です。 動いているPCの中で正規の利用者と同じように読み出す相手には効きません。

  3. ウ正しい。暗号化はファイルごとに行われるので、外部へ送り出されたファイルも復号できない。

    誤り。これはファイル暗号化の性質です。ストレージ暗号化はディスク単位で行い、 ディスクから読み出したファイルは平文になります。外部へ送られたファイルには暗号化が付いていきません。

  4. エ誤り。ストレージ暗号化が守るのは通信経路で、PC内に保存された情報は対象外である。

    誤り。通信経路を守るのはTLSなど通信の暗号化です。ストレージ暗号化はPC内に保存された情報を 守るものなので、「対象外」という説明は逆です。役員の発言が誤りである理由は別にあります。

理解を深めるために

ストレージ暗号化は「金庫ごと持ち去られたとき」の備え

ストレージ暗号化は、ディスクに書き込むデータをすべて暗号化しておく仕組みです。 PCを置き忘れたり盗まれたりしても、起動時の認証を通らなければディスクの中身は読めません。 ディスクを取り外して別のPCにつないでも同じです。

ただし、利用者がログインして使っている間は、OSが読み出しのたびに自動で復号します。 だから利用者は暗号化を意識せずに普段どおりファイルを開けます。 同じPCの中で動くマルウェアも、利用者のプログラムと同じ経路でファイルを読むので、 受け取るのは平文です。役員の発言は、守れる場面を広く取りすぎています。

守れる場面と守れない場面

  • 守れる: 電源が切れたPCの紛失・盗難、取り外したディスクの読み取り、廃棄したPCからの読み取り
  • 守れない: ログイン中のPCで動くマルウェア、利用者自身による持ち出し、メールで送り出したファイル

マルウェアによる漏えいには、マルウェア対策や権限の絞り込みなど別の対策を組み合わせます。

混同しやすい暗号化との違い

暗号化の種類 守る範囲
ストレージ暗号化 ディスク単位。電源が切れた状態での紛失・盗難
ファイル暗号化 ファイル単位。ファイルが外へ出ても暗号化が付いていく
通信の暗号化(TLSなど) 送受信の途中の盗聴

暗号化の問題では、「データがどこにあるとき、誰から守るのか」で種類を見分けます。

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