問題 10★★☆

部門のセキュリティ教育で、怪しいメールの見分け方を教えてきた。攻撃者が生成AIを使い、 フィッシングメールの文面が巧妙になっていることを受けて教材を見直すとき、 教える内容として最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア送金や認証情報の入力を急がせる依頼かに着目し、別の経路で確かめる。

    正解。文面の出来は生成AIでいくらでも整えられますが、攻撃者が最終的に させたいこと(送金・パスワード入力・添付の実行)は変えられません。 依頼の中身で疑い、登録済みの連絡先など別の経路で確かめるのが確実です。

  2. イ日本語の誤字や不自然な言い回しを見つける演習を増やし、見抜く力を高める。

    誤り。従来の見分け方の典型ですが、生成AIで文面が自然になると、 この手掛かりそのものが消えます。演習を増やしても、手掛かりの無いメールは 見抜けないので、見直しの方向として逆です。

  3. ウ社内での生成AIの利用を禁止し、AIで作られた文面が届かないようにする。

    誤り。生成AIを使っているのは攻撃者の側で、社内の利用を禁じても 外から届くメールは変わりません。自社がAIを使うリスクと、 攻撃者がAIを悪用するリスクを混同しています。

  4. エ添付ファイルやURLのないメールは、マルウェアに感染しないので安全と判断する。

    誤り。ビジネスメール詐欺(BEC)のように、文面だけで偽の口座へ 送金させる手口があります。感染しないことと、だまされないことは別で、 生成AIで巧妙になった文面はこの種の手口とも相性がよいものです。

理解を深めるために

「見た目」ではなく「頼みごと」で疑う

偽の電話を、話し方のぎこちなさで見抜くのには限界があります。話の上手な詐欺師なら ぎこちなさは出ないからです。それでも「今すぐ振り込んで」という頼みごとは隠せません。 生成AIで巧妙になったフィッシングメールも同じで、疑う手掛かりを見た目から 頼みごとの中身へ移す必要があります。

なぜ教え方を変えるのか

これまでの教育では、不自然な日本語や誤字を「怪しいメール」の手掛かりとして 教えることが多くありました。生成AIを悪用すると、攻撃者は次のことを手軽にできます。

  • 自然で誤りのない文面を作る
  • 相手の業界や立場に合わせた言い回しに直す
  • 文面を少しずつ変えて大量に作る

文面の出来で見分けられなくなる一方、攻撃者の最終的な狙いは変わりません。 送金させる、パスワードを入力させる、添付ファイルを開かせる、のいずれかです。 そうした依頼が来たら、メールに書かれた連絡先ではなく、登録済みの電話番号や 社内の正規の窓口など別の経路で確認する、という行動に結びつけて教えます。

混同しやすいものとの違い

教える内容 評価
依頼の中身に着目し別経路で確認 文面がどれほど自然でも使える判断基準
誤字・不自然な表現を探す 生成AIで手掛かりが消え、効かなくなる
社内の生成AI利用を禁止 攻撃者側のAI利用とは無関係
添付・URLがなければ安全 BECのように文面だけでだます手口を見落とす

試験では、AIが「誰に」使われているのか(攻撃者か自社か)と、 AIで何が変わり何が変わらないのかを切り分けると選べます。

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