問題 9★★★

自社のECサイトが、多数の送信元から一斉に大量の通信を送りつけられ、 自社のインターネット回線の帯域そのものが使い切られて、利用者が接続できなくなった。 この状況への対策として、最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア自社のファイアウォールで、攻撃元のIPアドレスを見つけるたびに遮断する。

    誤り。送信元が多数に分散しているので、1つずつ遮断しても追いつきません。 さらに、ファイアウォールは自社回線の内側にあるため、そこで捨てても 回線はすでに攻撃通信で埋まっており、正規の利用者の通信は入れないままです。

  2. イWebサーバに修正プログラムを適用して、既知の脆弱性を塞いでおく。

    誤り。脆弱性対策としては大切ですが、今回の攻撃は弱点を突いているのではなく、 通信の量で回線をあふれさせています。脆弱性が1つもないサーバでも、 回線が埋まれば利用者は接続できません。

  3. ウ通信事業者などの対策サービスで、自社回線に届く前に攻撃通信を除去する。

    正解。詰まっているのは自社の回線なので、その手前(上流)で攻撃通信を 取り除くしかありません。通信事業者やDDoS対策サービスは、自社より大きな 設備で攻撃通信を受け止めて選り分けます。

  4. エIDSを導入して攻撃の通信を検知し、管理者へ速やかに通知させる。

    誤り。IDS(侵入検知システム)は攻撃を見つけて知らせる仕組みで、 通信を止めるものではありません。検知できても回線のあふれは続くので、 サービスの停止という被害は防げません。

理解を深めるために

道が渋滞しているのに、門番を増やしても車は入れない

店の前の道路が、偽の客を乗せた大量の車で埋め尽くされた場面を考えます。 店の入口で門番が偽の客を追い返しても、道路の渋滞は解消せず、本物の客は 店にたどり着けません。渋滞を解くには、道路の手前で車を止めてもらう必要があります。

なぜ上流で止めるのか

DDoS攻撃は、多数の送信元から一斉に通信を送りつけ、サービスを使えなくする攻撃です。 単一の送信元から行うDoS攻撃と違い、送信元が分散しているので、 特定のIPアドレスを遮断するだけでは止まりません。

今回のように回線の帯域そのものがあふれているときは、対策をどこに置くかが決め手です。

  • 自社のファイアウォールやサーバは、詰まった回線の内側にある
  • 内側で攻撃通信を捨てても、回線を埋めている量は減らない
  • 自社回線に入る前の通信事業者やDDoS対策サービスで、攻撃通信を取り除いてもらう

こうしたサービスは事前の契約が要ることが多いので、攻撃を受けてから探すのではなく、 可用性が重要なサービスでは平時に備えておくのが現実的です。

混同しやすいものとの違い

対策 何に効くか・限界
上流での攻撃通信の除去 回線に届く前に量を減らす。帯域のあふれに効く
ファイアウォールでの遮断 内側で止めるので回線のあふれは解消しない。分散した送信元に追いつかない
修正プログラムの適用 脆弱性を突く攻撃に効く。通信量で押す攻撃には効かない
IDS 検知して通知するだけで、通信は止めない

試験では、攻撃が「弱点を突く」のか「量で押す」のかを先に見極め、 量で押す攻撃なら、詰まっている場所より手前で止める対策を選びます。

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