問題 10★★☆

過去のログイン記録に「不正」「正常」の正解を付けて教師あり学習させたモデルで、 不正ログインを判定している。過去に例のない新しい手口の不正ログインが、 「正常」と判定されて見逃された。対応として最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア新しい手口を含まない過去数年分の正常なログイン記録を加え、データ量を増やして学習し直す。

    誤り。データを増やせば精度が上がるという考えですが、加えるのが新しい手口を含まない記録では、 モデルはその手口の特徴を学べません。足りないのは量ではなく、 見逃した型の「不正」の例です。

  2. イ正解を付けずに記録を似た振る舞いのグループに分け直し、グループの番号を判定に使う。

    誤り。これは教師なし学習によるグルーピングです。似たものをまとめることはできますが、 どのグループが「不正」かという意味は持ちません。グループの番号をそのまま 判定結果として扱うことはできません。

  3. ウ新しい手口の事例に「不正」の正解を付けて学習データに加え、モデルを学習し直す。

    正解。教師あり学習のモデルは、正解の付いた例から判定の手がかりを学びます。 見逃した手口を正解付きの例として加えて学習し直せば、その型を判定できるようになります。

  4. エ判定のランダム性を高める設定にして、見慣れない記録にも「不正」と出やすくする。

    誤り。ランダム性の制御は、主に生成AIで出力の揺れ幅を調整する考え方です。 判定を偶然に任せても新しい手口の特徴を学んだことにはならず、 正常なログインまで「不正」とする誤りが増えるだけです。

理解を深めるために

見たことのない手口は、教わっていない

過去問だけで勉強した人は、出たことのある形式の問題には強くても、 初めて見る形式には手が出にくくなります。教師あり学習による予測もこれに似ていて、 正解の付いた過去の例から判定の手がかりを学ぶので、学習データに無い型には弱くなります。

なぜ正解付きの例を足すのか

この場面のモデルは、「不正」「正常」の正解が付いたログイン記録から、 不正に共通する特徴を学んでいます。新しい手口が見逃されたのは、その手口の特徴が 学習データに含まれておらず、モデルが「正常」側に寄せて判定したためです。

  • 見逃した手口の事例を集め、「不正」の正解を付ける
  • 学習データに加えて、モデルを学習し直す
  • 学習し直した後も、判定結果の点検を続け、新しい見逃しがあれば同じ手順を繰り返す

識別AIは一度作れば終わりではなく、手口の変化に合わせて学習データを更新し続けることが前提です。

混同しやすいものとの違い

対応 何を変えるか 新しい手口を判定できるようになるか
正解付きの事例を加えて学習し直す 学習データの中身 なる
正常な記録だけを足してデータ量を増やす 学習データの量 ならない
教師なし学習でグループ分け 手法(正解を使わない) 不正かどうかの意味が付かない
ランダム性を高める 出力の揺れ幅 ならない(誤判定が増える)

試験では、教師あり学習の判定の質は「どんな正解付きの例を学ばせたか」で決まる、という点を見ます。 見逃しへの対応は、量より中身の見直しから考えます。

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