正解:ウ
各選択肢の解説
ア新しい手口を含まない過去数年分の正常なログイン記録を加え、データ量を増やして学習し直す。
誤り。データを増やせば精度が上がるという考えですが、加えるのが新しい手口を含まない記録では、 モデルはその手口の特徴を学べません。足りないのは量ではなく、 見逃した型の「不正」の例です。
イ正解を付けずに記録を似た振る舞いのグループに分け直し、グループの番号を判定に使う。
誤り。これは教師なし学習によるグルーピングです。似たものをまとめることはできますが、 どのグループが「不正」かという意味は持ちません。グループの番号をそのまま 判定結果として扱うことはできません。
ウ新しい手口の事例に「不正」の正解を付けて学習データに加え、モデルを学習し直す。
正解。教師あり学習のモデルは、正解の付いた例から判定の手がかりを学びます。 見逃した手口を正解付きの例として加えて学習し直せば、その型を判定できるようになります。
エ判定のランダム性を高める設定にして、見慣れない記録にも「不正」と出やすくする。
誤り。ランダム性の制御は、主に生成AIで出力の揺れ幅を調整する考え方です。 判定を偶然に任せても新しい手口の特徴を学んだことにはならず、 正常なログインまで「不正」とする誤りが増えるだけです。
理解を深めるために
見たことのない手口は、教わっていない
過去問だけで勉強した人は、出たことのある形式の問題には強くても、 初めて見る形式には手が出にくくなります。教師あり学習による予測もこれに似ていて、 正解の付いた過去の例から判定の手がかりを学ぶので、学習データに無い型には弱くなります。
なぜ正解付きの例を足すのか
この場面のモデルは、「不正」「正常」の正解が付いたログイン記録から、 不正に共通する特徴を学んでいます。新しい手口が見逃されたのは、その手口の特徴が 学習データに含まれておらず、モデルが「正常」側に寄せて判定したためです。
- 見逃した手口の事例を集め、「不正」の正解を付ける
- 学習データに加えて、モデルを学習し直す
- 学習し直した後も、判定結果の点検を続け、新しい見逃しがあれば同じ手順を繰り返す
識別AIは一度作れば終わりではなく、手口の変化に合わせて学習データを更新し続けることが前提です。
混同しやすいものとの違い
| 対応 | 何を変えるか | 新しい手口を判定できるようになるか |
|---|---|---|
| 正解付きの事例を加えて学習し直す | 学習データの中身 | なる |
| 正常な記録だけを足してデータ量を増やす | 学習データの量 | ならない |
| 教師なし学習でグループ分け | 手法(正解を使わない) | 不正かどうかの意味が付かない |
| ランダム性を高める | 出力の揺れ幅 | ならない(誤判定が増える) |
試験では、教師あり学習の判定の質は「どんな正解付きの例を学ばせたか」で決まる、という点を見ます。 見逃しへの対応は、量より中身の見直しから考えます。