問題 3★★☆

自社が販売する業務用ソフトウェアについて、ライセンス認証を無効にし、購入していない人でも起動できるようにする プログラムが、Webサイトで配布されていることが分かった。この配布行為の法的な位置づけとして最も適切なものはどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. ア著作権法の私的使用のための複製として認められ、配布者が個人であれば規制の対象にならない。

    誤り。私的使用のための複製は、利用者が自分で使うために複製する場面の話で、 不特定の人に配る行為を正当化するものではありません。配布者が個人か法人かも、 不正競争防止法の不正競争に当たるかどうかを左右しません。

  2. イ不正競争防止法の不正競争にあたり、技術的制限手段の効果を妨げるプログラムの提供として規制される。

    正解。ライセンス認証は、プログラムの実行を電磁的方法で制限する技術的制限手段です。 その効果を妨げるプログラムを提供する行為は、いわゆるコピープロテクト外しとして不正競争に当たります。

  3. ウ不正競争防止法の不正競争にあたり、限定提供データを不正に取得して提供する行為として規制される。

    誤り。限定提供データは、ID・パスワードなどで管理して特定の相手にだけ提供する、相当量のデータです。 配布されているのは認証の仕組みを無効にするプログラムで、守られているデータを持ち出したわけではありません。

  4. エ不正アクセス禁止法にあたり、アクセス制御機能を回避させて不正アクセス行為を助長するものとして規制される。

    誤り。不正アクセス禁止法のアクセス制御機能は、ネットワークを通じたコンピュータの利用をIDやパスワードで 制限する仕組みです。手元のPCでソフトを起動させない仕組みとは守る対象が違い、 助長する行為も他人の識別符号を渡す行為を指します。

理解を深めるために

「鍵を壊す道具」を配ることを止める

ソフトウェアのライセンス認証は、代金を払った人だけが使えるようにする鍵のようなものです。 その鍵を壊す道具を誰でも手に入るように配れば、販売する会社の商売が成り立ちません。 不正競争防止法は、この鍵(技術的制限手段)を無効にする道具の提供を不正競争の一つとして定めています。 用語例では「コピープロテクト外し」と呼ばれる類型です。

不正競争防止法が対象にするもの

技術的制限手段とは、電磁的方法で、映像や音の視聴、プログラムの実行、情報の記録などを制限する手段です。 対象になるのは、その効果を妨げる装置やプログラムなどを譲渡・提供する行為や、 無効化をサービスとして請け負う行為です。

  • 守られるもの: 事業者が営業上用いている制限の仕組み
  • 規制される行為: 制限を妨げる道具・プログラムの提供など
  • 被害を受けた事業者がとれる手段: 差止めや損害賠償の請求など

なお、著作権法にも、技術的な保護の手段を回避することに関する定めがあります。 同じ配布行為でもどちらの法律から見るかで論点が変わるので、問題文がどの法律を問うているかを確かめます。 自社製品が被害に遭った担当者としては、配布サイトの記録を保全したうえで、 法務部門と対応を検討するのが現実的な一歩です。

混同しやすいものとの違い

用語 守る対象
技術的制限手段(コピープロテクト外し) ソフトや映像の利用を制限する仕組み
限定提供データ 特定の相手に提供する、管理された相当量のデータ
アクセス制御機能(不正アクセス禁止法) ネットワーク経由の利用を制限するIDやパスワードの仕組み
私的使用のための複製(著作権法) 権利を制限する例外。配布は対象外

「何を壊したか(仕組み)」「何を持ち出したか(データ)」「どこに入ったか(ネットワーク)」で切り分けると、 どの規定の話かが見えてきます。

前の問題へ次の問題へ