正解:ア
各選択肢の解説
ア不適合を知った時から1年以内に請負人へその旨を通知すれば、追完などを求める権利を保てる。
正解。民法は、注文者が不適合を知った時から1年以内に通知しないと権利を失う、と定めています。 数え始めは引渡しではなく気付いた時で、この期間内にしておくべきことは通知です。
イ引渡しから1年を過ぎているので、不適合を理由とする請求はもうできない。
誤り。引渡しから1年で区切るのは、2020年4月の民法改正前の瑕疵担保責任の考え方です。 改正後は、不適合を知った時から1年以内に通知すればよく、引渡しからの経過だけで権利は失われません。
ウ不適合を知った時から1年以内に、裁判で請求を起こさなければ権利を失う。
誤り。1年以内に求められているのは、不適合がある旨の通知です。訴えを起こすことまでは求められていません。 通知した後の権利は、消滅時効の一般の規定(知った時から5年など)に従います。
エ追完を求めることはできるが、報酬の減額を求めることは請負では認められていない。
誤り。改正後の民法では、請負にも売買の契約不適合責任の規定が準用され、報酬の減額を請求できます。 民法第637条も、通知を怠ったときに失う権利として、追完・報酬の減額・損害賠償・解除を並べています。
理解を深めるために
「気付いてから1年以内に知らせる」
請負で作ってもらったシステムに約束と違う点(契約不適合)があったとき、注文者は直してもらう、代金を減らしてもらう、などを求められます。 ただし、いつまでも黙っていてよいわけではありません。民法は、不適合を知った時から1年以内に請負人へ通知することを求めています。 時計が動き出すのは引渡しの日ではなく、気付いた日です。
民法の定め
- 請負にも、売買の契約不適合責任の規定が準用される(第559条)。注文者は、履行の追完、報酬の減額、損害賠償、契約の解除を求められる
- 注文者が不適合を知った時から1年以内にその旨を通知しないと、これらを求められなくなる(第637条第1項)
- 引渡しの時に請負人が不適合を知っていた、または重大な過失で知らなかった場合は、この1年の制限はかからない(同条第2項)
- 通知した後の権利は、消滅時効の一般の規定(権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)に従う
改正前は「引渡しから1年」が基準だったため、古い知識のまま判断すると、まだ守れる権利を自分から手放してしまいます。 また、契約で期間を別に定めることもできます。この問題は「特別な定めはない」ので民法の規定どおりになります。 セキュリティ上の欠陥に気付いた担当者は、まず不適合の内容を具体的に記録して、早めに請負人へ書面などで通知しておくのが確実です。
混同しやすいものとの違い
| 考え方 | 実際の扱い |
|---|---|
| 知った時から1年以内に通知 | 改正後の民法(第637条) |
| 引渡しから1年で権利が消える | 改正前の瑕疵担保責任の考え方 |
| 1年以内に訴えを起こす | 求められるのは通知まで |
| 請負では報酬の減額ができない | 改正後は減額も請求できる |
期間の問題では、「何から数えるか」と「その期間内に何をすればよいか」の2点を確かめます。