正解:エ
各選択肢の解説
ア同法は国と地方公共団体が保有するデータを対象とし、民間事業者のデータは対象外である。
誤り。「官民データ」の「民」を見落とした誤解です。同法の官民データには、事業者が事業の遂行にあたって 管理・利用・提供する電磁的記録も含まれ、事業者にも官民データ活用の推進に努める責務が定められています。
イ同法により、事業者は保有するデータを原則としてすべて国民に公開しなければならない。
誤り。同法が事業者に求めるのは、公益の増進に資するデータについて利用しやすくする措置を講じるよう 努めることで、努力義務です。保有データ全般の公開を義務づける規定ではありません。
ウデータ活用を推進する法律なので、個人に関するデータも本人の関与なく自由に提供してよい。
誤り。同法は個人に関するデータについて、本人の関与の下で適正に活用できる基盤の整備を国に求めています。 個人データの第三者提供のルールは個人情報保護法が定めており、同法がそれを緩めるわけではありません。
エ公益に資するデータは、権利利益や国の安全等を害さないようにしつつ、利用しやすくするよう努める。
正解。同法は、事業者が保有する官民データのうち公益の増進に資するものについて、個人・法人の権利利益や 国の安全等が害されないようにしつつ、国民が容易に利用できるよう措置を講じる努力を求めています。
理解を深めるために
「官民」の「民」は自社のこと
官民データ活用推進基本法と聞くと、国や自治体のデータを公開する法律だと思いがちです。 しかし同法の「官民データ」には、民間事業者が事業で扱う電子データも含まれます。 自社のデータを公開したいという相談は、まさに同法が想定している場面です。
同法が事業者に求めること
官民データ活用推進基本法(平成28年法律第103号)は、官民データの適正かつ効果的な活用を推進するための基本法です。
- 官民データ: 国・地方公共団体・独立行政法人・事業者が、事務や事業の遂行にあたって管理・利用・提供する電磁的記録に記録された情報(国の安全を損なうおそれがあるものなどは除く)
- 事業者の責務: 自ら積極的に官民データ活用の推進に努め、国や地方公共団体の施策に協力するよう努める
- 事業者の保有データ: 公益の増進に資するものについて、権利利益や国の安全等が害されないようにしつつ、国民が容易に利用できるよう措置を講じるよう努める
- 個人に関するデータ: 国は、本人の関与の下で多様な主体が適正に活用できる基盤を整備する
情報セキュリティ担当者として相談を受けたら、「公開してよいか」だけでなく、データに個人を特定できる情報や 取引先の機密が混ざっていないか、公開の範囲が適切かを確かめるのが、同法の考え方に沿った対応です。
混同しやすいものとの違い
| 考え方 | 同法の扱い |
|---|---|
| 公益に資するデータを、権利利益等に配慮して利用しやすくする | 事業者の努力義務として定められている |
| 民間のデータは対象外 | 誤り。官民データの定義に事業者のデータが含まれる |
| 保有データをすべて公開する義務 | 誤り。対象は公益に資するもので、努力義務にとどまる |
| 個人データを自由に提供できる | 誤り。本人の関与が前提で、提供のルールは個人情報保護法 |
試験では「義務か努力か」「どこまでが対象か」で見分けます。推進の法律でも、権利利益の保護が前提に置かれています。