問題 19★★★

自社が運営する会員制の口コミ掲示板(総務大臣の指定は受けていない)で、利用者から、名誉を傷つける投稿をした人物の 情報について、情報流通プラットフォーム対処法に基づく発信者情報の開示請求を受けた。運営者の対応として最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア投稿者と連絡が取れないなどの特別の事情がない限り、開示に応じるかどうかについて投稿者の意見を聴く。

    正解。開示請求を受けたプロバイダ等は、発信者と連絡できない場合などの特別の事情を除き、 開示に応じるかどうかについて発信者の意見を聴かなければなりません。開示の可否はそのうえで要件に照らして判断します。

  2. イ請求者が権利侵害を受けたと主張している以上、投稿者の登録情報を直ちに請求者へ開示する。

    誤り。主張があるだけでは開示できません。権利の侵害が明らかで、損害賠償請求のためなど開示を受ける正当な理由が あることが要件です。誤って開示すれば、今度は投稿者の権利を侵害することになります。

  3. ウ投稿者の登録情報は個人情報なので、個人情報保護法により、裁判所の命令があっても開示できない。

    誤り。個人情報保護法は、法令に基づく場合には本人の同意なく第三者に提供できる例外を設けています。 裁判所の発信者情報開示命令はこれに当たり、個人情報であることを理由に一律に拒むことはできません。

  4. エ申出を受けた日から14日以内に、投稿を削除するかどうかを決めて請求者に通知する。

    誤り。14日以内の判断と通知は、総務大臣の指定を受けた大規模特定電気通信役務提供者が、削除の申出を受けたときの義務です。 指定を受けていない運営者への開示請求という問題の条件とは、対象者も手続も異なります。

理解を深めるために

開示の前に、投稿者の言い分を聴く

掲示板の運営者は、書き込んだ人と書かれた人の間に立つ立場です。書かれた人の求めに応じて すぐに投稿者を明かせば投稿者の権利を、まったく応じなければ書かれた人の救済を損ないます。 そこで情報流通プラットフォーム対処法は、開示請求を受けたらまず投稿者の意見を聴く手順を置いています。

法律が定める手順

情報流通プラットフォーム対処法(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律。 旧称はプロバイダ責任制限法)は、インターネット上の権利侵害情報への対処を定めます。発信者情報の開示については次のとおりです。

  • 開示の要件: 権利の侵害が明らかであること、かつ損害賠償請求のためなど開示を受ける正当な理由があること
  • 運営者の義務: 特別の事情がない限り、開示に応じるかどうかについて発信者の意見を聴く
  • 裁判所の手続: 権利を侵害されたとする者の申立てにより、裁判所が決定で開示を命じる発信者情報開示命令もある
  • 大規模事業者の義務: 総務大臣が指定した大規模特定電気通信役務提供者は、削除の申出の窓口を公表し、 申出から14日以内に対応を判断して通知する

運営者としては、請求の内容を確かめ、投稿者に照会し、その意見も踏まえて要件を満たすかを判断します。 個人情報を扱う担当者としては、照会や開示の記録を残し、判断の経緯を説明できるようにしておくことが大切です。

混同しやすいものとの違い

手続 中身
発信者情報の開示請求 運営者は原則として発信者の意見を聴き、要件を満たすときに開示する
主張だけでの即時開示 要件(権利侵害が明らか・正当な理由)を満たさない
個人情報保護法の第三者提供の制限 法令に基づく場合は例外。開示命令があれば一律に拒めない
大規模事業者の14日以内の通知 指定を受けた事業者が削除の申出を受けたときの義務

試験では「誰に対する、何の手続か」で見分けます。開示は投稿者の特定、削除は投稿の送信防止で、手続が別です。

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