問題 10★★☆

社員向けセキュリティアンケートの自由記述をテキストマイニングにかけたところ、 最も多く現れた語は「面倒」で、多要素認証の話題と一緒に現れることが多かった。 この結果の扱いとして最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア出現回数の多い語の順に、そのまま対策の優先順位を決める。

    誤り。出現回数は「その話題がどれだけ多く書かれたか」を示すだけで、リスクの大きさの順 ではありません。共有アカウントの使い回しのような重大な指摘は、書いた人が少なければ 上位に出ません。頻度と深刻さは別の物差しです。

  2. イ「面倒」を含む記述の数を、そのまま不満を持つ人の数として報告する。

    誤り。テキストマイニングは語の現れ方を数えるので、「以前より面倒ではなくなった」のような 否定の文も同じ語として数えます。1人が何度も書いた場合も件数が増えます。 語の数を人数や賛否に読み替えるには、文脈を確かめる必要があります。

  3. ウ自由記述は主観的なので分析には使わず、選択式の設問の集計だけで判断する。

    誤り。選択式では、用意した選択肢の外にある困りごとを拾えません。自由記述は主観的だからこそ、 設問の作り手が想定していなかった声が入ります。それを大量に読み解くために テキストマイニングを使うのであって、捨てる理由にはなりません。

  4. エ頻度は書かれた量を示すにとどまるため、少数でも重大な記述は原文で確かめる。

    正解。テキストマイニングで多く書かれた話題の傾向はつかめますが、深刻さは分かりません。 件数の少ない記述にも重大な指摘が含まれうるので、原文を読んで補います。

理解を深めるために

数えられるのは「声の大きさ」まで

会議で何度も繰り返された意見が、いちばん大事な意見とは限りません。 一度しか出なかった「実はこんな危ないことが起きている」という発言のほうが、 重大なこともあります。テキストマイニングの頻度も同じで、 多く書かれた話題を教えてくれますが、重大さの順には並べてくれません。

テキストマイニングで分かること・分からないこと

テキストマイニングは、文章を語に分けて、出現の回数や、どの語とどの語が一緒に 現れるか(共起)を数える手法です。数千件の自由記述でも、全体の傾向を短時間でつかめます。 この場面では「多要素認証の手間に不満が集まっている」ことが読み取れます。

一方で、次の点は数字だけでは分かりません。

  • 文脈。「面倒ではない」も「面倒」として数えられる
  • 人数。1人が何度も書けば件数が増える
  • 深刻さ。書いた人が少ない重大な指摘は上位に出ない

そのため、傾向は頻度でつかみ、判断に使う前に代表的な記述や件数の少ない記述を 原文で確かめます。情報セキュリティの担当者にとって、少数の「規程が守られていない」 という記述は、多数の「面倒」より優先して調べるべき場合があります。

混同しやすいものとの違い

扱い方 何を根拠にしているか 問題点
頻度で傾向をつかみ、原文で補う 頻度と原文の両方 なし
頻度の順に優先度を決める 書かれた量 深刻さを見落とす
語の数を人数とみなす 語の出現回数 否定の文や重複を数える
自由記述を使わない 選択式の集計 想定外の声を捨てる

テキストマイニングの結果は「多く書かれたこと」の地図です。 地図で当たりをつけ、原文で中身を確かめる、という順で使います。

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