正解:エ
各選択肢の解説
ア出現回数の多い語の順に、そのまま対策の優先順位を決める。
誤り。出現回数は「その話題がどれだけ多く書かれたか」を示すだけで、リスクの大きさの順 ではありません。共有アカウントの使い回しのような重大な指摘は、書いた人が少なければ 上位に出ません。頻度と深刻さは別の物差しです。
イ「面倒」を含む記述の数を、そのまま不満を持つ人の数として報告する。
誤り。テキストマイニングは語の現れ方を数えるので、「以前より面倒ではなくなった」のような 否定の文も同じ語として数えます。1人が何度も書いた場合も件数が増えます。 語の数を人数や賛否に読み替えるには、文脈を確かめる必要があります。
ウ自由記述は主観的なので分析には使わず、選択式の設問の集計だけで判断する。
誤り。選択式では、用意した選択肢の外にある困りごとを拾えません。自由記述は主観的だからこそ、 設問の作り手が想定していなかった声が入ります。それを大量に読み解くために テキストマイニングを使うのであって、捨てる理由にはなりません。
エ頻度は書かれた量を示すにとどまるため、少数でも重大な記述は原文で確かめる。
正解。テキストマイニングで多く書かれた話題の傾向はつかめますが、深刻さは分かりません。 件数の少ない記述にも重大な指摘が含まれうるので、原文を読んで補います。
理解を深めるために
数えられるのは「声の大きさ」まで
会議で何度も繰り返された意見が、いちばん大事な意見とは限りません。 一度しか出なかった「実はこんな危ないことが起きている」という発言のほうが、 重大なこともあります。テキストマイニングの頻度も同じで、 多く書かれた話題を教えてくれますが、重大さの順には並べてくれません。
テキストマイニングで分かること・分からないこと
テキストマイニングは、文章を語に分けて、出現の回数や、どの語とどの語が一緒に 現れるか(共起)を数える手法です。数千件の自由記述でも、全体の傾向を短時間でつかめます。 この場面では「多要素認証の手間に不満が集まっている」ことが読み取れます。
一方で、次の点は数字だけでは分かりません。
- 文脈。「面倒ではない」も「面倒」として数えられる
- 人数。1人が何度も書けば件数が増える
- 深刻さ。書いた人が少ない重大な指摘は上位に出ない
そのため、傾向は頻度でつかみ、判断に使う前に代表的な記述や件数の少ない記述を 原文で確かめます。情報セキュリティの担当者にとって、少数の「規程が守られていない」 という記述は、多数の「面倒」より優先して調べるべき場合があります。
混同しやすいものとの違い
| 扱い方 | 何を根拠にしているか | 問題点 |
|---|---|---|
| 頻度で傾向をつかみ、原文で補う | 頻度と原文の両方 | なし |
| 頻度の順に優先度を決める | 書かれた量 | 深刻さを見落とす |
| 語の数を人数とみなす | 語の出現回数 | 否定の文や重複を数える |
| 自由記述を使わない | 選択式の集計 | 想定外の声を捨てる |
テキストマイニングの結果は「多く書かれたこと」の地図です。 地図で当たりをつけ、原文で中身を確かめる、という順で使います。