問題 12★★★

標的型メール訓練の開封率(送信数に対する開封数の割合)が、昨年の10%から今年は3%に下がった。 その後、今年導入したメールフィルタが訓練メールの一部を迷惑メールとして隔離していたと分かった。 担当者の対応として最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア開封率が大きく下がったので、訓練の効果が出たと報告する。

    誤り。今年は一部の社員に訓練メールが届いていません。届かなかったメールは開封されようがないので、 社員の行動が変わらなくても開封率は下がります。測る条件が変わった数字を、 そのまま効果の証拠として扱っています。

  2. イ来年は訓練の対象者を増やし、件数を増やしてから効果を判断する。

    誤り。件数を増やすと偶然のばらつき(標本誤差)は小さくなりますが、隔離によって 開封率が低く出る偏りは件数を増やしても残ります。測り方そのものの偏り(統計的バイアス)は、 量ではなく測り方を直さないと消えません。

  3. ウ受信者に届いた数を確かめ、届いたメールを分母にして開封率を比べ直す。

    正解。隔離された分を分母から除けば、届いたメールのうち何割が開かれたかという、 昨年と同じ意味の数字で比べられます。偏りの原因を測り方の側で取り除く対応です。

  4. エ昨年と同じ文面の訓練メールに戻し、文面の条件だけをそろえて比べる。

    誤り。文面の違いも比較の条件ですが、この場面で数字を動かしているのは、 メールが届いたかどうかです。文面をそろえても隔離が続けば偏りは残ります。 どの条件の違いが数字を動かしたのかを見極める必要があります。

理解を深めるために

届いていない手紙は開けられない

100通の手紙のうち70通が配達されなかったら、開封された手紙が減るのは当然です。 受け取った人が慎重になったからではありません。標的型メール訓練の開封率も同じで、 メールフィルタが訓練メールを隔離すると、社員の行動と関係なく数字が下がります。

測り方が変わると数字が偏る

データの集め方や測り方が原因で、結果が一定の方向にずれることを統計的バイアスといいます。 この場面では、昨年と今年で次の条件が変わっています。

  • 昨年:送ったメールはすべて社員に届いた
  • 今年:一部がフィルタで隔離され、社員の受信箱に届かなかった

開封率の分母を「送信数」のままにすると、今年だけ「届いていないのに開かれなかった」分が 混ざり、低く出ます。メールフィルタの記録で受信箱に届いた数を確かめ、 それを分母にして比べ直せば、昨年と同じ意味の数字になります。

情報セキュリティの担当者は、訓練の開封率や報告率で教育の効果を測る場面が多くあります。 対策を入れた年は、その対策自体が測り方を変えていないかを確かめてから比べます。

混同しやすいものとの違い

考え方 何に対処するか この場面で効くか
分母を届いた数に直す 測り方の偏り(統計的バイアス) 効く
対象者を増やす 偶然のばらつき(標本誤差) 偏りは残る
文面をそろえる メールの見分けにくさの違い 届いたかどうかの差は残る
そのまま効果と報告する 何もしていない 偏った数字で判断する

「数字を動かしたのは社員の行動か、測る条件か」を最初に問うのが要点です。

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