問題 11★★☆

災害時に全社員を在宅勤務へ切り替えた場合に、リモートアクセス用VPN装置の同時接続数の 上限が足りるかを、実際に全員を在宅にすることなく見積もりたい。 用いる手法として最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア過去の接続記録をデータマイニングにかけ、利用の多い曜日や時間帯の規則性を見つける。

    誤り。データマイニングは、すでに起きたことのデータから規則性を掘り出す手法です。 過去の記録には「全員が在宅」という状況が含まれていないので、その条件での接続数は 規則性を探しても出てきません。まだ起きていない条件の結果を試算するのは別の手法です。

  2. イ他社が公開する在宅勤務の事例をスクレイピングで集め、平均の接続数を求める。

    誤り。スクレイピングはWebページから情報を自動で集める手段で、見積もりの手法ではありません。 しかも他社の数字は、社員数や業務の時間帯が違うので、自社の上限が足りるかの判断に そのまま使えません。データを集める段階と、結果を予測する段階は別物です。

  3. ウ過去の接続記録をもとに接続数のモデルを作り、在宅率などの条件を変えて試算する。

    正解。シミュレーションは、現実の仕組みをモデルにして、条件を変えたときの結果を試す手法です。 実際に全員を在宅にしなくても、在宅率や時間帯を変えた場合の同時接続数を見積もれます。

  4. エ社員アンケートの自由記述をテキストマイニングし、在宅勤務への不安の傾向をつかむ。

    誤り。テキストマイニングは文章から語の頻度や共起を取り出す手法で、社員の声の傾向は つかめますが、装置にかかる接続数は分かりません。目的が「人の意見」か 「機器の負荷」かで、使う手法が分かれます。

理解を深めるために

本番の前に「模型」で試す

新しい橋を架ける前に、模型や計算で「重い車が何台通っても大丈夫か」を確かめます。 実際に壊れるまで車を走らせるわけにはいかないからです。シミュレーションは、 現実の仕組みをモデルに置き換えて、条件を変えたときに何が起きるかを試す手法です。

なぜこの場面ではシミュレーションなのか

知りたいのは、「全員在宅」というまだ起きていない条件での同時接続数です。 過去のデータを眺めるだけでは、その条件の値は出てきません。そこで次のように進めます。

  • 過去の接続記録から、1人当たりの接続時間や時間帯ごとの集中の仕方をモデルにする
  • 在宅率を30%、70%、100%と変え、始業直後などの集中も条件に入れる
  • それぞれの条件で同時接続数を試算し、装置の上限と比べる

上限を超える条件が分かれば、装置の増強、ライセンスの追加、時差出勤のルールなどを 災害の前に検討できます。事業継続計画で「代替手段が本当に持つか」を確かめる場面は、 情報セキュリティの担当者がシミュレーションを使う典型です。

混同しやすいものとの違い

手法 何をするか この場面で使えるか
シミュレーション モデルで条件を変えて結果を試算する 使える。未経験の条件を試せる
データマイニング 過去のデータから規則性を掘り出す 過去に無い条件の値は出ない
スクレイピング Webから情報を自動で集める 収集の手段で、見積もりではない
テキストマイニング 文章の語の頻度や共起を調べる 機器の負荷は分からない

「すでに起きたことを調べる」のか「まだ起きていない条件を試す」のかで、 データマイニングとシミュレーションを見分けます。

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