正解:ア
各選択肢の解説
ア報告書が確定する前に、復元テストの実施記録を示して、記載が事実と異なる点を監査人に伝える。
正解。意見交換は、報告書案の事実関係に誤りがないかを確かめるための場です。 根拠となる記録を示して違いを伝えれば、監査人は確定前に事実を確かめ直せます。
イ監査人の判断を尊重して記載をそのまま受け入れ、復元テストを定期的に行う改善計画を立てる。
誤り。監査人の評価を尊重することと、事実の誤りを見過ごすことは別です。誤った前提のまま改善計画を立てると、 すでに行っている作業に手間をかけることになり、本当に直すべき点が見えなくなります。
ウ報告書はいったん確定してもらい、後日のフォローアップの際に、実施していたことを記録で説明する。
誤り。フォローアップは、指摘を受けた改善の進み具合を確かめる段階です。確定した報告書は経営者などに渡り、 誤った記載のまま判断に使われます。事実の誤りは確定前に正すのが原則です。
エ指摘があると部門の評価が下がるので、この項目を報告書から削除してもらうよう監査人に求める。
誤り。部門の都合で評価を変えるよう求めることは、監査人の独立した判断に介入することになります。 伝えるべきなのは「事実が違う」ことと、その裏付けです。指摘として残すかどうかは監査人が判断します。
理解を深めるために
間違いは「確定する前」に、記録を添えて伝える
新聞の取材を受けた人が、記事のゲラで事実の間違いに気づいたら、印刷される前に資料を見せて直してもらいます。 刷られてから訂正を出しても、誤った記事はすでに読まれています。 監査報告書も同じで、確定する前の意見交換の場で、裏付けの記録を示して事実の誤りを伝えるのが正しい対応です。
意見交換で確かめること
システム監査では、監査人は報告書を確定する前に、監査対象部門と意見交換を行い、 記載した事実に誤りがないかを確かめるのが一般的です。監査を受ける側から見ると、次のように整理できます。
- 意見交換で正すのは事実関係(何をしたか、いつ、どの記録があるか)。言葉だけでなく記録で示す
- 事実をどう評価し、指摘事項として残すかは監査人が独立して判断する。部門が評価そのものを左右しようとしてはいけない
- 確定した報告書は経営者などに提出され、改善の判断に使われる。誤りは確定前に正しておく
- 確定後のフォローアップは、改善提案や改善計画の進み具合を確かめる段階で、事実の訂正の場ではない
たとえば半年前の実施が、規程が定める頻度を満たしているかは別の問題です。満たしていなければ、記載を直したうえで指摘は残りえます。
混同しやすい対応との違い
| 対応 | どこが問題か |
|---|---|
| 確定前に記録を示して事実の違いを伝える | 意見交換の目的どおり |
| 記載を受け入れて改善計画を立てる | 誤った前提で手間をかける |
| 確定後のフォローアップで説明する | 誤った報告書が判断に使われる |
| 評価が下がるので項目を外させる | 監査人の独立した判断への介入 |
「事実の訂正」と「評価への介入」を分けられるかが、この種の問題の見分けどころです。