正解:イ
各選択肢の解説
ア欠けている3か月分は当時の点検内容を思い出して作成し、日付を合わせて12か月分を揃えて提出する。
誤り。後から当時の日付で記録を作るのは、記録の改ざん(ねつ造)です。「点検はしていたはず」という善意でも、 監査人はその記録を当時の事実と信じて評価してしまいます。発覚すれば、記録の欠落よりはるかに重い問題になります。
イ3か月分の記録が無いことを監査人に伝えたうえで、残っている記録を手を加えずにそのまま提出する。
正解。監査人は提供された記録を証拠として結論を出します。欠けていることも含めて事実のまま渡せば、 監査人は正しく評価でき、部門は欠落の原因と再発防止に向き合えます。
ウ記録が揃っている9か月分だけを提出し、欠けている期間については監査人に聞かれたら説明する。
誤り。都合のよい部分だけを選んで渡すと、監査人は「12か月とも記録がある」と誤解しかねません。 求められた範囲に欠落があること自体が監査で評価すべき事実なので、聞かれる前に自分から伝えます。
エ点検は毎月行っていた旨を部門長名の確認書にまとめ、欠けている3か月分の記録の代わりに提出する。
誤り。部門長の確認書は、監査を受ける側の自己申告です。当時作られた点検記録の代わりにはなりません。 監査人が確認書を参考資料として求めることはあっても、記録が無いという事実を隠す道具にしてはいけません。
理解を深めるために
無い記録は「無い」と伝えるのがいちばんの協力
健康診断の前日に問診票の数値を書き換えても、体は良くなりません。むしろ医師が誤った判断をします。 監査も同じです。監査人は、監査を受ける側が提供した記録を監査証拠として結論を出します。 記録が欠けているなら、欠けていることを伝え、ある記録をそのまま渡すのが正しい提供のしかたです。
なぜ「そのまま」なのか
経済産業省のシステム監査基準(令和5年改訂)は、監査人が十分かつ適切な監査証拠を入手し、 それに基づいて結論を出すことを求めています。監査を受ける側から見ると、次のことが大切になります。
- 提供した記録は、監査人の結論の土台になる。後から作った記録や選んだ記録は、結論そのものを歪める
- 記録の欠落は、それ自体が「点検の記録を残す仕組みが働いていなかった」という評価の対象になる
- 欠落を正直に示せば、監査人の指摘を受けて原因(担当の不在、様式の不備など)を直せる
隠したり取り繕ったりした場合、発覚すれば欠落よりも重い不正として扱われ、ほかの記録の信頼まで失います。
混同しやすい対応との違い
| 対応 | 監査証拠として見ると |
|---|---|
| 欠落を伝え、ある記録をそのまま出す | 事実どおりの証拠になる |
| 当時の日付で記録を作る | 改ざん。証拠の信頼が根元から崩れる |
| 揃っている分だけ出す | 選別。監査人が全期間を評価できない |
| 部門長名の確認書で代える | 自己申告。当時の記録の代わりにならない |
監査を受ける側の問題では、「事実をそのまま渡しているか」で選択肢を見分けます。