問題 2★★☆

部員は規程の内容を知っているが、不審な兆候に気付いたときに報告を後回しにしがちである。 どの時点で何を優先すべきだったかを部員どうしで考え、判断の仕方を身につけさせたい。 研修の進め方として最も適切なものはどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. ア規程の条文を講師が順に解説し、最後に理解度テストで確認する。

    誤り。講義形式の集合研修(Off-JT)です。知識を全員にそろえて伝えるには向きますが、 部員はすでに規程を知っています。足りないのは知識ではなく、実際の状況で どう判断するかなので、条文の解説を重ねても身につきません。

  2. イ他社で起きた漏えい事例の経緯を読み、判断の分かれ目をグループで討議する。

    正解。ケーススタディです。実際の事例の経緯を追い、どこで何を優先すべきだったかを 話し合うことで、場面に応じた判断の仕方を、他の部員の考え方と比べながら養えます。

  3. ウ問合せ担当者役と顧客役に分かれ、漏えいの問合せへの応対を演じる。

    誤り。ロールプレイングです。役を演じて、言葉遣いや応対の手順を体で覚えるのに向きます。 ねらいは決められた対応をその場で実行できることで、経緯をさかのぼって 判断の分かれ目を分析する進め方ではありません。

  4. エ配属先の先輩が、日常の業務の中で気付いた点をその都度指導する。

    誤り。OJTです。業務をしながら指導を受けられますが、不審な兆候はめったに 起きないので、学ぶ機会が業務の偶然に左右されます。判断が問われる場面を 意図して取り上げ、皆で考えることは難しい方法です。

理解を深めるために

知っていることを、判断できる力に変える研修

交通ルールを暗記していても、見通しの悪い交差点で減速できるとは限りません。 「ここで危ないと気付くべきだった」という事故の事例を分析して、初めて判断の勘所がつかめます。 情報セキュリティでも、規程を知っていることと、兆候に気付いた瞬間に報告を優先できることは別の力です。

ケーススタディが向いている理由

ケーススタディは、実際に起きた事例を教材にし、経緯を追いながら問題点や 取るべきだった行動を検討する研修方法です。

  • 事例の経緯があるので、「どの時点で」「何を優先すべきか」を具体的に考えられる
  • グループで討議すると、自分と違う判断の根拠に触れられる
  • めったに起きない出来事も、他社の事例を使えば意図して取り上げられる

この場面の部員に足りないのは規程の知識ではなく、兆候を前にしたときの判断です。 判断の分かれ目を事例の中で分析させるケーススタディが、ねらいに合います。

混同しやすいものとの違い

研修方法 何を身につけるか 進め方
ケーススタディ 状況に応じた判断の仕方 事例の経緯を分析し討議する
講義形式の集合研修(Off-JT) 体系的な知識 講師が解説し理解度を確かめる
ロールプレイング 応対の言葉遣いや手順 役を演じて実際に行う
OJT 担当業務の実務 業務の中で上司・先輩が指導する

研修方法を選ぶときは、受講者に足りないものが「知識」「手順の実行」「判断」の どれかを見極めます。判断を鍛えたいなら、事例を素材に考えさせる方法を選びます。

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