正解:イ
各選択肢の解説
ア地震やランサムウェアなど事業を止めうる事象を洗い出し、発生の可能性と影響度で備える順位を付ける。
誤り。これはリスクの分析・評価です。どちらもBCPの策定で行う分析なので混同しやすいですが、 こちらは「何が起きるか」という原因から出発し、どの事象に備えるかを決めます。 どの業務をいつまでに戻すかは、業務の側から影響を見る分析で決めます。
イ原因を問わず各業務が止まった場合の影響を時間の経過に沿って評価し、重要業務と目標復旧時間を検討する。
正解。事業影響度分析(BIA)です。止まった原因ではなく「止まったら何が困るか」を 時間の経過で評価するので、優先して戻す業務と、それをいつまでに戻すかが見えてきます。
ウ策定したBCPに基づく訓練の結果を経営者が確認し、手順の不備や体制の変化に合わせて計画を見直す。
誤り。これは事業継続マネジメント(BCM)のうち、点検と見直しの活動です。 BCMはBCPを作って終わりにせず回し続ける管理の仕組みですが、 今回は計画がまだ無く、優先順位を決める前の段階なので、見直す対象がありません。
エ各業務システムの過去1年の障害件数と停止時間を集計し、停止が多かったシステムから冗長化を進める。
誤り。過去の障害実績は「どれだけ止まりやすいか」を示しますが、 「止まったときにどれだけ困るか」は示しません。めったに止まらなくても、 止まれば出荷や決済が止まる業務こそ優先して守る必要があります。
理解を深めるために
「止まったら何が困るか」から順番を決める
災害やサイバー攻撃で会社の機能が一斉に止まったとき、すべての業務を同時に元へ戻すことは、 ほとんどの企業にとって現実的ではありません。そこで、どの業務を先に戻し、それをいつまでに 戻すかを平常時に決めておく必要があります。その出発点になるのが事業影響度分析(BIA)です。
なぜ「原因を問わず」なのか
内閣府の事業継続ガイドラインは、BIAを「原因に関わらず」各事業が停止した場合の影響を 時系列で評価する分析として説明しています。取引先にとって大事なのは「止まるかどうか」で、 止まった理由が地震でもランサムウェアでも困り方は大きく変わらないからです。
- 各業務が止まった場合の影響(売上、取引先への責任、法令や契約への違反、信用など)を、時間の経過とともに評価する
- 影響が大きい業務を重要業務として絞り込み、停止を許容できる限界より早い**目標復旧時間(RTO)**を検討する
- その業務を動かすのに必要な人・設備・システム・取引先などを洗い出す
このあと、原因の側から見る「リスクの分析・評価」と行き来しながら、現状でいつまでに戻せるかを見積もり、 目標との差を埋める対策を決めます。
混同しやすいものとの違い
| 分析・活動 | 出発点 | 決まること |
|---|---|---|
| 事業影響度分析(BIA) | 業務が止まったら何が困るか | 重要業務と目標復旧時間 |
| リスクの分析・評価 | 何が起きるか(地震、攻撃など) | どの事象に優先して備えるか |
| BCMの点検・見直し | 作ったBCPと訓練の結果 | 計画の修正点 |
| 障害実績の集計 | どれだけ止まりやすかったか | 止まりやすいシステム(影響の大きさは分からない) |
「優先順位」「何時間以内に再開」という言葉が出たら、業務の側から影響を見るBIAを選びます。 地震や攻撃などの事象を並べて比べている選択肢は、リスクの分析・評価です。